出版社内容情報
【内容紹介】
仏教の原典を求めたいという求道者の一心から、厳重な鎖国をしくチベットに、あらゆる困難にうちかって単身入国を果たした河口慧海師の旅行記。抜群の面白さをもっているだけでなく、チベットの風俗・習慣等についての的確な記述は、本書をチベット研究のための第一級の基本的文献としている。この巻では、サラ潜入を遂げた慧海師がチベット人を名乗り医者として大活躍する。ついに法王に召出される程になり、盛名がますます上る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夏野菜
4
首都ラサに到着した河口慧海。大学入学を果たし、いつの間にか名医として遇されはじめる。医者としての評判が高くなりすぎて学業に支障が出始めると、元大臣の家に住むことになり、衣食住の不安はなくなる。冒険譚はひと段落。しばし、チベット風俗の紹介が続く。しかし、河口慧海はトラブルが起きてもなんとかなる。その上あまりにもドラマチックだ。ご都合主義な小説のような所もある。そりゃあ、明治の日本人がこの旅行記を信じることが出来ないのも仕方が無い気がする。2014/02/24
wei xian tiang
3
古書店で見つけたので二巻を飛ばして三巻。相変わらず慧海節絶好調、読み終わるまで片時も手を離せない。僧坊の住人をモンゴリア人、チベット人、カム人に大別して民族性を語る章が殊に面白い。2015/11/15
greenman
3
ラサに潜入した河口慧海師は、大乗仏教をさらに極めるためにセラ大学に入学したが、医師として有名なってしまい、法王に謁見することになってしまう。後半はチベットの文化風俗について述べられており、いろいろと興味深い。特に修道僧侶の当問、婚姻(多夫一妻)や葬儀(鳥葬など)は日本とかなり違っていて、世界の広さがうかがい知れる。2010/01/07
カネコ
2
◎ 明治時代、日本人で初めて厳重な鎖国下のチベットに潜入した河口慧海の旅行記。とにかく面白い。本巻では「第八十六回 驚くべき葬儀」の鳥葬立会い記事が一番インパクトあり。2009/06/19
ドウ
1
ラサで仏僧の大学に入ったものの、名医と話題になり法王と謁見。チベット人が不潔かどうかは単なる価値判断なので措くとして、医療の面や結婚や葬儀など儀礼に紙幅を割いているので、当時のチベットの風俗・慣習がよく分かる。正直に言うと、面白いけれどもだれて来ましたね。2017/03/13