出版社内容情報
いつ飛びこんでくるかわからない動物の死体。解剖は人類に限りない知の喜びを与える文化そのものだ。アザラシの目玉、ゾウの腎臓、ウシの胃袋に興奮せよ!
内容説明
24時間戦う遺体科学者、動物進化の神秘へ迫る。
目次
第1章 時々刻々遺体あり(乗車率二〇〇パーセントの闘い;鍛えられるセンス ほか)
第2章 遺体、未来を歩む(ハチ公、いまを生きる;上野に帰ったタカオ ほか)
第3章 硬い遺体(骨に問う;骨が語る履歴 ほか)
第4章 軟らかい遺体(骨から軟らかい遺体へ;研究の難しさ ほか)
第5章 遺体科学のスタートライン(消えた解剖学;「遺体科学」、始まる ほか)
著者等紹介
遠藤秀紀[エンドウヒデキ]
1965年東京都生まれ。東京大学農学部卒業。国立科学博物館動物研究部研究官を経て、2005年より京都大学霊長類研究所教授。獣医学博士、獣医師。動物の遺体に隠された進化の謎を追い、遺体を文化の礎として保存するべく「遺体科学」を提唱、パンダの掌やイルカの呼吸器などで発見を重ねている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロッキーのパパ
16
アザラシからラクダまでさまざまな動物を解剖してきた経験に基づくエピソードが興味深い。筆者独特の軽妙な語り口と相まって、ところどころニヤッとしながらさくさく読み進めることができた。経済的尺度がメインになりつつある科学を取り巻く現状を売れる気持ちはなんとなく共感できるな。そんなことしたら、地道な研究の積み重ねによる画期的な成果が生まれにくくなってしまうと思う。それに、科学を楽しむ機会が失われちゃうよな。2010/10/27
凛
11
熱量が凄いな。動物の遺体と解剖学に対する社会における価値、価値を生むための社会での行動理念。知は即時性のものではなく後世に残す為にある。大学という機構は破綻の一途を辿っていて、金持ちのパトロンを持って研究する方向にシフトしていくのがベターなんじゃないかと改めて感じる。2014/06/24
儚俣
8
テレビでお馴染みの先生だが、動物行動学者ではなく解剖学者だったとは知らなかった。最初の解剖シーンの記述は並の作家よりも生々しくて、巧みな文章力を見せている。ジブリやプロレスを舌鋒鋭く非難するのも面白い。解剖学の現状と未来への憂いを見せた一冊。2016/01/29
greenman
8
マッドサイエンティスト(!)のような容貌をもつ遠藤氏による、生物の解体新書。遺体を「硬い遺体」「軟らかい遺体」に分類し、「系統=歴史の制約」と「適応=生きるための回答」を通して、生物の神秘を見つけ出していく。さらに解剖がかえりみなれなくなっている現状に怒り、「遺体科学」の構想もぶち上げる。この本では書かれていないが、人間の遺体も、もっと真剣に見つめていかなければいけないはずだ。こういう試みから新たな「知」や「真理」が出てくることを期待したい。2010/02/01
うさこ
6
クレイジージャーニー再開、待ってました!なので遠藤先生を読んでおこうと手にしたら、著者紹介の笑顔のインパクトたるや。この写真を選ぶ時点でかなりお茶目なお人柄がうかがえます。専門的な内容ながら、骨を見る人間が注目する「系統」と「適応」の話はとても分かりやすいし面白くてスリリング。なのに、解剖学、そんなに蔑ろにされているの?と恨み節満載で心配になっちゃう。今、この瞬間も絶滅の危機に瀕している動物たちがいるのに、未来の技術でもっと研究の幅が広がるかもしれないのに、知の結晶の源泉を軽んじるなんて、激おこですよー。2022/10/28
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