出版社内容情報
閉じた世界にある「充足に似たもの」は脆く表面的なもの。世界と自分と現実とをリンクさせ、ささやかな日常を味わって生きる人生論生きていく辛さから逃れ得たら幸福だろうか? 停滞した時間、閉じた世界にある「充足に似たもの」は脆く表面的なものだ。世界と自分と現実とをリンクさせ、ささやかな日常を味わって生きる、大人な人生論。 第1章 幸福の1ダース 第2章 不幸の中の幸福 第3章 幸福と不幸との間 第4章 断片としての幸福 第5章 散歩者の視線
第1章 幸福の1ダース
第2章 不幸の中の幸福
第3章 幸福と不幸との間
第4章 断片としての幸福
第5章 散歩者の視線
春日 武彦[カスガ タケヒコ]
著・文・その他
内容説明
「風邪をひいたわたし」がなぜいいか。幸福の断片を味わう生き方。
目次
第1章 幸福の1ダース(さまざまな幸福;宮崎市の大衆食堂 ほか)
第2章 不幸の中の幸福(二十年がかりの家;山頂から昇天 ほか)
第3章 幸福と不幸との間(嬉しくなる場所;思考のプロセス ほか)
第4章 断片としての幸福(小さな人;曖昧さについて ほか)
第5章 散歩者の視線(「見立て」のこと;道の発見 ほか)
著者等紹介
春日武彦[カスガタケヒコ]
1951年、京都生まれ。日本医科大学卒業。医学博士。産婦人科医を経て精神科医に。現在は都立墨東病院精神科部長
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
団塊シニア
55
筆者が体験した幸福感の12のエピソードには共感できないが独特の幸福論であることは間違いない。まるごとの幸福、なにから何まで幸福といった状態は幻想、そんなものはない、幸福は常に断片として立ち現れる、という言葉は説得力がある。2014/01/03
阿部義彦
19
私は楽しめた、思わず頬がゆるみました。春日さんの著書は二冊目です。読む人によっては何処が幸福論なんだよ!ケッてな反応も有り得る本です。アランの幸福論を期待するとエライ目に会いますぞ。冒頭著者が幸福を感じたエピソードが12出てきます。これに共感できるかが味噌です。駄目な人は読むの辞めてくださいな。確かに後半書いてる様に「見立て」に関する事は多いですね。解る人にしか分からないささやかな、幸福を感じる物語の断片が日常に顔を出す瞬間。「東京カリント株式会社」には、おおそうじゃ!と大納得です。変人の戯言で結構。2016/07/09
澤水月
19
著者本人がおわりに書いているように、珍しく男の更年期?不安定さが。不幸抜いてもらう感覚で献血いくとか奥様が無造作に猫を投げ入れてくるエピソード微笑ましい。が、妄想広げた「上から目線」…ある患者の末期の様子とか、同級生が今きっと良くない人生送ってるに違いないとか…ぼのぼのの「怖い考えになってしまった」的な記述が幾つもあるのは驚き。ただ精神科医だけに自覚的なのが安心して読める。最後紹介される、文学だけでは食べていけないと医者を生涯続けつつ些末なことを描写する全く独自な道拓いた詩人の話はまさに著者そのもの2014/11/09
アナクマ
18
「鯛焼きにある糊しろに似たるもの」この一句で表現される。あるいは、逆三角形の三つの点が顔に(どんな顔に?)見えること。2018/10/20
ネムル
17
とても面白い。さながらチェスタトン並に面白い。何やら『パターソン』みたいな内容だなと思いつつ読み進めていたら、ラストでWCWが引用されていて、ホントに『パターソン』だった。2017/10/21