内容説明
音読ほど脳を活性化させる活動はない!最先端の脳科学者と漢文素読を実践するドイツ文学者が説く「脳にやさしい教育」のすすめ。
目次
第1章 音読を楽しむ(読書も祈りも、声に出すのが普通だった;音読は「脳の全身運動」)
第2章 子どもはことばをどう学ぶか(ことばの獲得は「聞くこと」から;子どもの脳とことばの獲得)
第3章 「ことばの力」を育てる(「聞く」ことから「話す」ことへ;子どもの前頭前野はどのように発達するか ほか)
第4章 さまざまな音読と脳の反応(予想外の実験結果;感性のトレーニングと知性のトレーニング)
著者等紹介
川島隆太[カワシマリュウタ]
1959年千葉県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院医学研究科修了。スウェーデン王国カロリンスカ研究所客員研究員、東北大学講師等を経て、現在東北大学教授。医学博士
安達忠夫[アダチタダオ]
1944年福島県生まれ。東京大学独文科卒、同大学院独文科修了。現在、埼玉大学教授。この間、テュービンゲン大学、コペンハーゲン大学キルケゴール文庫に研究留学
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みこと
13
子育てがもう終盤に入っている私にはなかなか耳が痛い言葉もあったが、朗読と音読について興味があったので読んでみた。なるほどやっぱり声に出すか出さないかでは結構な違いがあるんだと改めて認識。意味がわからなくても声に出して読むことは一定の効果があることもわかった。これで安心してどんどん読める。意味がわからなくてもその言葉のリズムを身体に刻み込むためにまずは素読、そして意味を掴みながら読み込む音読・朗読へ。面白かった。2020/08/22
そり
7
この本では、音読とは万能で素晴らしいものだとか断定しておらず、役に立ちそうな本という胡散臭さの面を持っていない。主に子育て論、そして誠実な科学者2人による共同研究レポートだ。脳は全ての行動に司っているので、様々な分野とタッグを組みやすい。しかし、それだけにある一つの分野の事柄が突出して脳に良いなんてことも多分ないと思う。音読みと訓読で脳に対する反応の違いを調べる実験が試みられ、結果、脳は複雑なものだと示す一片が現れている。ちょっと余分だなと感じる部分もあるかも。2012/12/25
PDCAサイクル
4
歴史的には,文字の読み書きよりも,話して聞く期間の方が長い.言語の習得プロセスを見ると,聞く・模倣する・話す・読む・書くという順であり,やはり聞く・話すという「音」を伴う行為の方がより原始的な能力のようである.そして,肝心の読む能力にも,音読・半音読・黙読という順序関係がある.著者らは,音読と黙読の違い(音読の優位性)を前頭前野の活性度で評価しようと試みたが,成功しなかったようだ.これは,音読と黙読では脳のなかで異なった処理をしているためであり,評価方法が悪かったといえよう.この点は著者も反省している.2018/09/10
柊 ユウ
4
言葉の獲得には臨界期があり、母親の語りかけは重要である。黙読・素読・朗読はそれぞれ特性をもち、いずれも脳の領域を活性化させる。安達さんご自身が質問していたり、被験者となっていておもしろい。脳について説明するも不明な部分は不明と答える川島さんも良い。2012/11/23
Ayanosuke
4
予備知識がなくても読みやすい本です。脳科学でわかっていないことをわからないとはっきり書かれていることに、真実味を感じました。2012/07/10