内容説明
グリム童話に隠された、糸つむぎ部屋の秘密とは?どんちゃん騒ぎに恋のさや当て、西欧庶民の知られざる風俗を赤裸々に描く。
目次
第1章 『ねむり姫』のルーツ
第2章 グリム童話の舞台裏
第3章 糸つむぎと女性
第4章 糸つむぎ部屋の習俗
第5章 愛の風俗史
第6章 風紀紊乱の温床?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
棕櫚木庵
20
前半は,「いばら姫」の源泉とグリムによる改変の話.後半,第3章以降は,糸紡ぎに係わるアナール風民衆史.元々は別の論文として発表されたこの二つが,「カルヴァン派」によって繋がったということらしい(pp.196--197).つまり,グリムが行った改変の一つはゲルマン化だが,もう一つの改変 --- 性的部分の削除および家庭婦人倫理の導入 --- は,カルヴァン派が糸紡ぎ部屋を性的放縦の場として批判したことと軌を一にし,ともに19世紀ブルジョワ的世界観の確立に寄与した,と.→2021/09/21
ゐ氏/きたの
1
速読練習と活字慣れのために流し読みのために借りたけれど普通に面白くてけっこうちゃんと読んでしまった。誰もが知ってるねむり姫のおとぎ話からつながる糸紡ぎ部屋の性風俗史を解明していく話の流れがとても興味深かった。ドイツのナショナリズムとグリム童話の関係も面白かった。裏舞台があらゆるおとぎ話をいっそう重みを加えていくんだなあと思った。興味深いけれど興味深いどまり、ではあった。2016/02/20
J_L_B_459
0
糸つむぎ部屋は昔の出会い系サイトだった/グリム童話は純粋のドイツ民話ではない/元ネタにあった性的な部分は宗教的な理由から消したが、「糸つむぎ」の暗喩は残った2009/06/24