内容説明
本書は、インド、パキスタンの核実験の背景と原因の分析を通じて、インド亜大陸の成り立ちと、安全保障を中心とした国際関係についての理解を深めさせるものである。
目次
第1章 宿命の敵対関係
第2章 「大国」めざすインド
第3章 「中国の核の脅威」は本当か?
第4章 インドの核開発―歴史と特色
第5章 パキスタンの核開発―歴史と特色
第6章 ウラン型とプルトニウム型―両国の核技術比較
第7章 「核保有国」へのハードル
第8章 なぜいま、核実験だったのか
第9章 カギ握る米国の対応
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆきまさくん
2
英国からの独立以来、カシミール紛争で争い、三度にわたって戦争をしてきたインドとパキスタン。インドは中国との間でも国境戦争で大敗し、そのインドが核開発した直接のきっかけは、中国の核実験成功だという。一方でカシミール問題よりも、インドそのものに脅威を感じるパキスタンは、インドが核実験を行うや、すかさず自国も核の開発を行った。まさに核開発の連鎖だった。98年のインドとパキスタンの核実験の契機は、95年NPTの無期限延長と96年CTBTの国連総会の採決だということだから、P5優先の国際秩序が起因していたようだ。2019/01/04
Hideyuki Nagaoka
1
海外旅行に行って東アジア人というククリで一塊に扱われた経験があり、特に欧米諸国に行くとそれは顕著に感じます。だって見た目が同じですから。それと同じように宗教上の違いはあるが南アジアなんて同じだと僕は思っていました。日本の街を歩けばこれらの国のカレー屋さんで溢れてますし味の違いなんて分かりませんから。でも、核兵器という側面からこれら南アジア諸国を見るという本書で少しだけ認識が変わりました。核保有国に対抗するべく道を歩まざるを得なかったこれら国々の経緯を知ると核兵器なんてみんな持ちたくないだよね、きっと。2013/03/09
ぬましょー
1
両国か核保有に至った経緯を知って、許すことはできないものの理解はした。今までは核不拡散条約を破って核爆弾の開発をした両国に嫌悪感を抱いていたが、国際社会の対応によりせざるを得なかった両国に同情する。しかし、被爆国の日本に住む人間としては核は廃絶すべきだと思うし、核の傘に守られている状況も改善せねばならないと思う。考えさせられる一冊だった。2012/12/10