内容説明
21世紀を解く最大のキーワード「複雑系」。生命、自然、物質、社会、経済。あらゆる事象を取りこみ展開していく新たな「知」のパラダイムとは。最先端科学の現場にあなたを誘う恰好の入門書。
目次
プロローグ 失われた「世界」を求めて
1 「複雑系」のほうへ(「複雑」とはどういうことか;いま、なぜ「複雑系」なのか)
2 花咲く「複雑系」の影に(「複雑系」のフロンティア;人工生命の複雑な未来;コンピュータの中の遍歴)
3 囚われの科学、逃げ去る自然(「科学」とは何であったか;秩序と混沌のはざまで)
エピローグ 見出された「世界」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
34
「神の目には複雑系は存在しない。ということは、逆にいえば、神は複雑系を科学することができないということだ。」万能の神には「分からない」(というクオリア)ということが分からないともいえます。カオスにおける相互作用の結果、生まれた総和以上の何かのことを「創発」と呼びます。「創発」といえば、中沢新一が言う森の粘菌から生まれるものと変わらないオカルティックな印象を受けますが、現在はどこまで進んでいるのでしょうか。神の不在の喩えの様に人間的な営みであり、文系的な知が必要とされるのですが…2020/12/23
佐島楓
28
「複雑系」も、「カオス理論」も、非常に漠然としか理解できなかった。つまりそういうわかりにくい研究の話なのかな、くらい。一時期注目された題材のようだが、今この研究はどのような形で引き継がれているのだろう。2014/06/15
kochi
21
タイトル通り複雑系とは何か?という問いに対するひとつの答えを、哲学や文学に造詣が深い著者が、ニュートン力学と統計力学を柱とする保守的科学と対置される非線形力学と自己組織化の収斂としての「複雑系」として整理し、サンタフェ研究所や日本での成果を概観し、本質を「世界を見ることを学び直す」と看破した好著だと思うが、是非とも手に取って、メルロ=ポンティの主著の序文をパクっては、ソーカル事件に言及し、微分法の説明で「曲がった者でも、瞬間瞬間はまっすぐだとする性善説である。」と記す多芸多才を味わって欲しい。2020/06/16
くろほ
8
複雑系を扱う研究室に入ったので。15年以上前に出た本だけど大丈夫だったかな。「複雑系」の科学の中での立ち位置が掴めた。「全体が部分の総和ではない」とか「カオス理論」とか「バタフライ効果」とか僕の中二心がくすぐられました。2012/04/13
tolucky1962
7
並列多数の分散制御する複雑適応系。非平衡で学習,進化で適応,経験から未来予測,自発行動。要素間の相互作用でマクロには動きの総和以上のふるまいを示す。革新と安定の均衡点カオスの縁で創発:組織化,パターン出現,相移転。下位から機械的,上位から目的的。群れ行動は生命と解釈できる。複雑系は無数の要素からなる集団で,カオスと自己組織化(混沌→秩序)。様々な分野(物理,化学,生物,地球環境,政治,経済など)に適用できる。生物は個体/集団としても相互作用で維持する外部に開かれたシステム。一回限りの歴史に統一理論はない。2023/07/30
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