内容説明
世界史はモンゴルを待っていた―草原の遊牧国家が、ユーラシアの東西を結ぶ。チンギスから、クビライの奪権まで。
目次
序 歴史を語るものたち
1 時代の被造物モンゴル(モンゴル・ウルスの誕生;世界征服への道;帝国の動揺;ヨーロッパとの出会い)
2 世界史の変貌(クビライの奪権;フレグの旋回;多極化時代の幕明け)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イトノコ
26
モンゴル帝国の歴史を解説。上巻はチンギス・カンの出現からクビライ・カンの治世まで。モンゴル帝国関連の書籍はいくつか読んで来たので、知っている事も多かった。しかしチンギスを英雄ではなく、モンゴルの共同体の調整者程度にあっさりと描いていたのは新鮮。しかし、バトゥのヨーロッパ遠征中にオゴデイ、バトゥとの衝突直前にグユク、クビライの南宋遠征とフラグのイスラム遠征中にモンケ、そしてクビライとの同盟直後に各ウルスの長たち…振り返ればトルイも、不自然に絶妙なタイミングで有力者が死ぬ。内外からの暗殺がいくつかあったのか?2022/10/29
coolflat
21
840年のウイグルの西進(つまりはトルコ族の西進、これをきっかけに、中央アジア以西は、セルジューク朝、ガズナ朝、ホラズム朝、マムルーク朝、オスマン朝などが形成)を皮切りに、チンギスのモンゴル統一からアリクブケの反乱~ハイドゥの乱直前まで。モンゴル族がトルコ系民族を駆逐・吸収する過程がよくわかる。105頁。ネストリウス派は、唐代末期の武宗による法難によって仏教徒とともに弾圧され、その後はウイグルやモンゴル高原の牧民世界に広まった。チンギスと覇を争ったケレイト部やナイマン部は、ネストリウス派の信者であった。2020/05/13
俊
19
モンゴル帝国の歴史の概説書。上巻ではチンギス・ハーンからフビライに至るまでの「拡大」の時代が語られる。最も驚いたのは史実の耶律楚材の人物像。単なる文官の一人で重要な役職にはついておらず、人柄も虚栄心が強かったり虚言癖があったりで、あまり良い人ではなかったらしい。孔明のようなイメージだっただけに少しショックだった(笑)。その他、モンゴル軍の残酷性にはモンゴル自身の宣伝が影響していることや、クビライよりアリク・ブケの方が正統だったこと等など。いろんな発見があって非常に面白かった。 2014/09/16
akiakki
7
頻繁に挿入された地図からいかに活動範囲が広かった分かります。聞きなれない人名だらけなので常に家系図と見比べながら読み進めました。モンゴル帝国は一丸となって勢力を広めたイメージでしたが家同士で揉めて内ゲバしてたのが意外です。2022/06/20
Aa
7
まず、想像よりも勢力範囲が広くて驚いた。組織だっていたりとか、遊牧民のイメージと異なる部分も多く、さらに驚き。力だけじゃなくて、制度も確立されていないとあの広範囲を治めるのは、難しいだろう。下巻も楽しみ!2019/04/25