内容説明
紋章に刻まれた言葉は協調・完全・勤勉。家訓は「語るなかれ」。徹底した秘密保持と、一族の結束と連係で国際金融を制覇し、今なお世界を牛耳る巨大財閥の実像を描く。
目次
第1章 歴史を彩る
第2章 金融王国への階段(19世紀)
第3章 不死鳥の世界財閥(20世紀)
第4章 受難のパワー
第5章 日本とロスチャイルド家
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
221
二代目の5人兄弟が各国に地盤を築いた後、ナポレオン戦争では情報網を使って大いに儲け、七月革命後の墺仏開戦の危機を防ぎ鉄道事業を拡大した。ウィーン体制が彼らの防壁となる。ところが二月革命後、各国の国家意識が高まり経済成長による市場の争奪戦が始まると、彼らとて安穏としてはいられず、帝国主義への出資もやむを得なくなる。帝国主義者との罵声を浴び、没落していく分家もあった。が、戦後のロンドン家とパリ家の巻き返しは凄いの一言で、ロスチャイルドの底力を見せつけられる。著者のいうようにユダヤの怨念の力を感じざるを得ない。2021/11/18
skunk_c
68
30年ほど前の書。ユダヤ系で19世紀には世界を股にかけた活動をした国際財閥について、その系譜と盛衰をまとめたもの。著者はジャーナリストのようで文章の切れがよく読みやすい。また広瀬隆『赤い楯』のような陰謀論を排し、一族の間でも争いや対立があったことを記す。一方でイスラエルとの関わりについては記されているのだが、パレスチナにおけるロスチャイルド家の動きをイスラエル側からみた評価だけで済ませていたり、バルフォア宣言の位置づけもサイクス=ピコ協定は出てくるがフセイン=マクマホン書簡は出ないなど偏りを感じた。2024/08/13
速読おやじ
18
ロスチャイルドはナショナリズム全盛の時期に、グローバル展開を進め、ファミリーの永続的な栄華を目指してゆく。情報の非対称性が顕著だった時代に情報を武器に稼ぐのだ。ロスチャイルドファミリーの印であるFive Arrows(5本の矢)は五兄弟が各都市に分かれてそれぞれ支え合う印だ。あれ、これって毛利元就の三本の矢に似てるやん!元就パクったか?(笑)さて、ロスチャイルドは今もロンドン家、パリ家は健在である。ロスチャイルドと日本の関係で有名なのは日露戦争時の国債引受。ロスチャイルドは日本にとって実は恩人なのである。2022/09/15
ヒロキです
15
初代マイヤーから5人の息子が、それぞれフランクフルト家・ウィーン家・ロンドン家・ナポリ家・パリ家に分家して本格化。この5人が聡明で且つ、父の教えを守って「5本の矢」の結束力が高かったのが一族隆盛極めた要因であろう。欧州で勢力均衡の考えが強かった時代に戦争などの情報を即座に入手し、国債を売買して富を得る。その後も石油事業へ参入するなど産業資本にも関与しリスク分散が図られていることで存続していると感じた。富を得る為に平和維持を願うのもリベラル的か。時間を経ると分家間の関係が希薄化するのは共通なのだと思った。2025/03/19
中島直人
13
読みやすく分かりやすい。その歴史を一通り、手っ取り早く読むことが出来る。以上。2017/09/02
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