内容説明
女帝の娘たちの歩んだ人生の明暗。貴賎結婚の苦難に耐えた大公妃たち。政治情勢にまで影響を与えた、皇帝をめぐる嫁姑の確執…。ハプスブルク帝国の歴史を彩る。
目次
第1章 ブルゴーニュ公家との縁組―マクシミリアン一世妃マリア
第2章 フィリップ美公の妻と妹―フアナとマルガレーテ
第3章 ハプスブルク家の「貴賎結婚」―フェルディナント大公妃フィリッピーネ・ヴェルザーとヨーハン大公妃アンナ・プロッフル
第4章 女帝の家族―マリア・テレジアとその嫁・娘たち
第5章 フランツ帝の皇女の行方―マリー・ルイーズとレオポルディーネ
第6章 バイエルンからの2人の花嫁―皇帝フランツ・ヨーゼフの母后ゾフィーと皇后エリーザベト
第7章 命を賭けた「帝冠と結婚」―フランツ・フェルディナント大公妃ゾフィー・ホテク
第8章 王朝最後の皇后―カール一世妃ツィタ・フォン・ブルボン・パルマ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
42
宮廷での悲喜こもごもが活き活きと書かれ、とても興味深く読んだ。身分違いの恋が正式に容認された歴史的事実(ペナルティはあったようです)には驚かされた。マリア・テレジアをますます好きになったし、女性の視点からの西洋史も面白いとわかった。2015/07/12
俊
25
ハプスブルク家と関わりの深い女性とその周辺にスポットを当てた新書。時代が飛び飛びだったり描かれる範囲が狭かったりで、ハプスブルク家の全体像は少し掴みにくい。ただ書かれているエピソードはどれも面白く、読みやすい文体なのもあって一気に読んでしまった。ハプスブルク家を知る取っ掛かりとしては凄く良い本だと思う。2015/10/25
Nat
17
ブックオフで100円で売っていたので、購入。マリア・テレジアやエリザベートのことは、何となく知っていたけど、他にも多くの女性が登場し、面白く読めました。マリア・テレジアは自分は初恋を成就し、幸せな結婚をしたのに、娘たちは溺愛した1人を除き、結婚政策の持ち駒としか考えていなかったということが、凄い。しかもそれは殆ど成功しなかったという残念さ。他にはハプスブルク家の貴賎結婚の章も、興味深かった。2018/11/25
ちくわん
16
1993年6月の本。予想を遥かに凌ぐ面白さ。世界史、特にも中世は全く興味がなかったが、激動の六百年、面白かった。全部を順番に淡々と語らない著者のテクニックが成した技かも。たくさんの登場人物の中でもサラエボで暗殺されたフランツ・フェルナンデスとゾフィーのそれまでを知った。「各国別世界史ノート」(山川出版)も見ながら読んだが、パプスブルク家の影響は大きい。2020/06/06
シルク
14
これ、こどもの時(中1くらい)から好きな本。実家に、母親が本やら外国土産の細工やろうそくや、あるいはいくつものオルゴールが入れられたガラス張りのケースがあったのだが、その、ちょっと変わったにおいのする棚の中に、この本が入っていた。読メで挙がっているのとは異なる、美しい旧版の表紙で。ある時、本も読みつくし、趣味の裁縫も気乗りしない、イケてない休日に「なんか読むものない……?」 と問うたら、「これでも読み」 と、珍しくその棚を開けて、貸してくれたのだな。頁をめくると広がっていたのは……夢のような、世界だった。2015/07/30