出版社内容情報
壺井 栄[ツボイ サカエ]
著・文・その他
武田 美穂[タケダ ミホ]
著・文・その他
内容説明
昭和3年春。みさきの分教場に、若い女の先生が洋服を着て、新しい自転車に乗ってきた。新米のおなご先生をいじめようと待ちぶせていた子どもたちも、びっくり!先生が受けもった1年生12人の瞳は、希望と不安でかがやいていた―。瀬戸内海の小さな島を舞台に、先生と教え子たちとの心温まる生き方をえがいた名作。小学上級から。
著者等紹介
壺井栄[ツボイサカエ]
1899年、香川県小豆島に生まれる。小説家。旧姓岩井。高等小学校卒業後、一時、村の郵便局や役場につとめる。1925年、上京して同郷の詩人、壷井繁治と結婚する。1936年、出世作「大根の葉」を書く。代表作として「二十四の瞳」などがある。1967年没
武田美穂[タケダミホ]
東京生まれ。絵本作家・イラストレーター。かわいらしさの中にも、情感あふれる作風で人気を集めている。絵本作品には、絵本にっぽん賞を受賞した『ふしぎのおうちはドキドキなのだ』、講談社出版文化賞を受賞した『となりのせきのますだくん』(ともにポプラ社)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒラP@ehon.gohon
22
戦争という暗い時代をはさんで、瀬戸内海小島での新米先生と、分校の小学生との交流が、あまりにも見事に描かれています。 ただ、親子して戦争を知らない世代として、いくつもの社会変化を経た今、親として小学生として、教育現場、親子関係、様々な視点から考える材料が一杯ありそうな作品です。 信頼できる先生はいますか? 子どもたちのことを心底受けとめる教員でいますか? 家族の絆はしっかりしていますか? 子どもに犠牲を強いていませんか? 時代の荒波の中で、どの様に生きていますか? 2020/04/04
フミ
19
瀬戸内の小島で、少し離れた小学校に赴任した女性教師と、一年生の教え子たち十二人。昭和の初期から終戦までの、激動の時代を、元・教師として、そして子を持つ母親として、感情豊かに描いた作品です。日米開戦直前~終戦後までの、母性を持った女性の悲しみが籠っていました。教え子が「徴兵検査なんですよ」と笑顔で語ったり、主人公の息子さんが「死ぬことが名誉」と平気で思っていたりする…門前に「戦死」の札を掛けるのが名誉な時代だったのを、この作品で初めて教わりました。「国民全てを鎌倉武士にする」教育が徹底していたのですね…。2024/08/21
しんすけ
19
初読時には壺井栄は生きていた。そして教育や反戦に関して印象に残る言葉を残していた。 それが、マルクスやレーニンの書籍を読むきっかけとなったことを、憶えている。 ただし本書を読んだのは、そんなこととは無関係だった。 子どもの頃に観たデコちゃんの印象が、強く残ていたからだった。 今回の再読でも、その映像が何度も蘇った。 そして思った。今の日本は、この本が望んでいることと逆方向の人類滅亡の途を邁進していることを…2024/01/30
kitten
11
図書館本。娘の読書感想文用。名作だけど読んでいなかった。娘が苦戦しているようなので、自分でも読んでみた。 なるほど、こういう話だったのか。この時代の空気感が痛い。言論の自由のなさが、息苦しい。現在と比べることで、感想文を書くのはなんとかなると思う。でも、今の忖度ばかりの世の中と比べるとどうだろうね。2019/07/30
Riopapa
6
戦争や貧しさというものが、いかに人々の人生を狂わせてしまうか。結局、個人は国家の前では無力なもの。2013/08/18