出版社内容情報
クリスティの円熟期を代表する長編傑作。 三幕の演劇のような死。引退した俳優の別荘で起きた地元の牧師の死。俳優の親友で精神科医が毒殺された。さらに精神科医の患者も毒殺されポワロは幕引きを誓う。
内容説明
引退した俳優が田舎に所有する別荘でパーティーを主催。その席で、招待した地元の牧師が変死した。その後、俳優の友人の医師が、自分で開いたパーティーで、毒入りのポートワインを飲んで死亡した。さらに、この医師の婦人患者が毒入りのチョコレートを食べて死ぬにおよんで、ポワロは重大な連続殺人だと確信する。悲劇は三幕でおわらせなければならない…。小学上級から。
著者等紹介
クリスティ,アガサ[クリスティ,アガサ]
1890年、イングランドのデボン州にある保養地トーキーで生まれる。20世紀を代表するミステリー作家。90をこえる作品をのこし、1976年、85歳で死去
花上かつみ[ハナウエカツミ]
1953年、東京都に生まれる。1976年慶応義塾大学文学部卒業。翻訳学校でメグレ警視シリーズの翻訳で知られる長島良三氏に師事し、1986年から、翻訳の仕事を開始する。自身も小学生の頃からミステリー小説のファン
高松啓二[タカマツケイジ]
1958年、兵庫県に生まれる。1981年東洋美術学校卒業。1987年にイラスト工房/ティー・ボーンステーキを設立。1992~1994年に『小学五年生』(小学館)の表紙イラストを連載。最近はペーパークラフトでも注目される
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感想・レビュー
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かつみす
5
『三幕の悲劇』が出版されたのは1934年で『ABC殺人事件』の2年前。この時期のクリスティは、連続殺人もののロジックに磨きをかけていったのだろう。『三幕』ではそこに毒殺のトリックが絡む。人物間の会話が小説の大半を占めていて、サスペンスフルな『ABC』より地味な印象があるけど、真相の隠し方は、こちらの方が優れているかもしれない。解決篇で霧がさっと晴れるように全体の印象が変わる。もう一度ゆっくりと辿り直してみたくなる魅力がある。『謎のクィン氏』に登場する人生の傍観者サタースウェイト氏に再会する楽しみもあった。2020/01/13