講談社現代新書<br> ユングの心理学

講談社現代新書
ユングの心理学

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  • サイズ 新書判/ページ数 214p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061456778
  • NDC分類 146.1

出版社内容情報

【内容紹介】
「魂の医師」としてユングは、自己内部を深く凝視し、心の深奥、広大な無意識の領域へ踏みこんでいった。そこは、人間の喜怒哀楽の感情を生みだす源泉であり、心のあやういバランスを保つ力も存在している。忘れられたの断片〈影〉、内なる異性像〈アニマ・アニムス〉、母なるものの根源にある〈グレート・マザー〉、そして〈老賢人〉などのイメージは壮大な神話やファンタジーを創りだしつつ、日常のささやかな幸福や人間関係のドラマにも密接に関わっている。ユングの心理学は、生の根底、自己の未知なる内面への旅である。

ファンタジーの創造社――ユングの心理学では、病的な症状はただ治療しなければならない、過去の悪い思い出とつながるだけのものではない。そこにはすでに、これから生まれるべき、別の姿が、一つのヴィジョンとして含まれているはずなのである。病的な状態が生みだす妄想さえも、ユングは決して否定的なものとはとらなかった。あらゆる人間のファンタジーは、心の奥から生まれてくる想像力が形作ったものなのである。その背景には、揺れ動く人間の創造性があって、現実化されるのを待っているというのが、彼の考えである。――本書より

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

44
勉強上理解を深めるため読んだ。河合先生の御著書からだいたいのことは学んでいたので、それほど苦労せずに読了できた。フロイトやアドラーとの関係が密だったことはこの本で知った。ユング心理学は内向的でたおやか、つかみどころがなかなかないものをとらまえようとするような考え方だと思っていたけれど、大きく的を外れてはいなかった。2015/08/07

morinokazedayori

35
★★★★★ユングに関する伝記的な記述の部分は、物語を読んでいるかのような面白さ。ユングの理論の部分は、初学者には少し難しい。最終章の「ユングと現代」は圧巻。現代社会の生きづらさが分析されている。1982年の本だが、未だ事態は改善されないどころか、悪化しているのを感じる。どう歳をとっていけばよいか考えさせられ、ぐいぐいと引き込まれた。2017/08/23

KAKAPO

30
《ユングは人間の態度を外向型、内向型に類別し、心理的機能を合理的なものと非合理的なものという対概念で考え、さらに合理的な心のはたらきとして思考と感情を対として考え、非合理的な心のはたらきを直感と感覚とに分けた。外交思考型の人は、事実に即して答えを出す人であり、外交的感情の発達内向思考型の人は、自分の中に沈潜して論理的な考えをもて遊ぶ。》私は、事実に即して答えを出そうと努力しているものの、その実は、現実のものごとに対する興味はなく、独自の情景を心の中に描き、自分の感覚と遊ぶことに巧みなタイプだと考えられる。2018/08/25

かんやん

19
自分にとっては最悪のオカルト趣味としか思えなかった。魂の探求、内なる旅、no.1とno.2の人格、地下の帝王…このような語彙には強烈な違和感を感じずにはいられない。神話の研究なら話はわかりやすいが、ユングの思想が大学で心理学として教えられたり、そういう教育を受けた人が治療に当たったりするのは、問題ではないのか。心理学的類型というのも、びっくりするほど陳腐だし、グレートマザー、老賢人などのイメージは、もはやありきたりなファンタジーのストックキャラクターではないのか。人間の想像力の限界を感じる。2018/07/06

マーブル

14
ユングの心理学を紐解いているが、フロイトとの違いも炙り出され二人の別離の原因の一端も知ることができる。印象に残るのが彼らの生み出した学説の根幹。育った環境やコンプレックス。性格的な資質。それらの要素が作り上げた理論、治療のアプローチなどに影響を与え結果袂を分かつことになる。後を追う者たちに多大な功績を残し、芸術家たちにインスピレーションを与え、一般人にも揺るぎない足跡を残す二人。その功績は天才的、革新的であったのだろうが、突き詰めていけば始まりはどこまでも個人的な色に染まり、その色が消えることはない。2021/08/24

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