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出版社内容情報
「約束の国」を守り抜く――そう決意したダードは、誰もが驚愕する能力と手段で、共産主義国家の政治将校として栄達を重ねていく……スロニアTO叛乱の芽を撃滅した功績が認められ、連邦軍中尉任官及び共産党書記局付という異例の昇進を果たしたダーヴィドら五人は、ボルニア共和国首都ヴルフ・ボスナに赴任する。ヒルトリアの“末期的現状”を唯一正確に見抜くトルバカインと未来を知るイレギュラーであるダーヴィドは“制御可能な革命”を果たす為、約束の国に巣食う“癌”を手段を選ばず一掃していく……。
カルロ・ゼンが贈る“共産主義英雄譚” 粛清の第2巻――。
カルロ・ゼン[カルロ ゼン]
著・文・その他
巖本 英利[イワモト エイリ]
著・文・その他
内容説明
スロニアTO叛乱の芽を撃滅した功績が認められ、連邦軍中尉任官及び共産党書記局付という異例の昇進を果たしたダーヴィドら五人は、ボルニア共和国首都ヴルフ・ボスナに赴任する。ヒルトリアの“末期的現状”を唯一正確に見抜くトルバカインと未来を知るイレギュラーであるダーヴィドは“制御可能な革命”を果たす為、約束の国に巣食う“癌”を手段を選ばず一掃していく…。カルロ・ゼンが贈る“共産主義英雄譚”粛清の第2巻―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まゆにゃ
13
何と「悪い」表紙であろうか。結局2巻3巻と、古書の取り扱いがないので纏めて新刊で購入してしまった。しかし幼女戦記といい今ひとつ書店員に認知が進んでいないのか、書店では(あろうことかマンガ専門店でも)全く見かけない(幼女戦記は稀に見なくもない)。実に嘆かわしい。2巻はスパルタキアードを絡めた汚職追放の為に同じ肥溜めに頭まで飛び込むお話。そしてトルバカイン課長は意外なほど自分で現場まで出てきてやることをやるのだなあ、と思いました。2015/08/22
みろ
10
カバーも悪い表情だけど、P341の同志トルバカインの表情がもっと悪い。国を疲弊させる紅い豚どもを一掃するために自らが手を汚し、囮となるダーヴィドと彼の真意は知らないながらも彼を信じていく仲間たち。官僚主義の塊のような手続き、連邦と共和国との間で異なる認識などの描写がいちいちめんどくさくて、でもそこに臨場感があふれてる。果たして民族主義的反動主義者と汚職官吏を摘発し、約束の国ヒルトリアを守れるのか、先が楽しみなシリーズ。 2016/01/24
やす。
8
旧ユーゴ(みたいな国)でオリンピック(みたいなイベント)が開かれる。汚職や連邦官僚の硬直性といった問題とともに不気味に蠢く「民族主義」。果たして「民族自決」は「平和の破壊」なのか、それとも「民族融和」が「諸民族の牢獄」なのか。汚職と秘密警察とコカコーラ社の中で主人公が取るべき選択とは。「社会主義国家」についてウィットに富んだ描かれ方、汚職摘発のために汚職に塗れる主人公がイキイキしている所が魅力的な第二巻。2015/03/17
ぶーにゃん@積ん読本解消中
8
共産主義者同士で交わされるエスプリに富んだ会話は感性に実にフィットして面白い小説です。 「全ては人民のために」というスローガンに隠されている暗闘を表紙笑顔の禍々しさとなって示しているみたいに感じます。ダーヴィドはトルバカインという実力者とともに祖国崩壊を防ぐために謀略に身を投じる。後世への影響を考えながら複雑に絡み合う汚職と政治情勢の中で周辺国の思惑もある中で手段を選ばず事を成そうとするダーヴィドのヒリつくような危機感が作品全体を覆い、ストーリー構成と共産主義崩壊に至る重い情報で正に読み応えは満点でした。2015/02/05
kaiinc
8
#約束の国 『幼女』のカルロ・ゼン氏による共産主義的軽小説(レフトノベル)第2巻。一見平穏な日常の裏で目前に迫る分裂の危機。その背後に諸外国勢力も見え、この点は次巻以降どのように話に関わってくるのか。本作に限らず同志の著作の面白さの一つは、単純な理想が通用しない限界状況下で実質的な正義が問われる中、その実質を守るために必要な形式的手続きをとる姿をふんだんに描写することにあると思うが、この巻も非常に楽しめた。そして党は自浄作用を見せ、目の前の破局の芽を摘むことに成功するのである。素晴らしきファンタジー小説。2014/12/18