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星海社新書
通州事件 日中戦争泥沼化への道

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  • サイズ 新書判/ページ数 186p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061386075
  • NDC分類 210.7
  • Cコード C0221

出版社内容情報

日本居留民225名殺害、反乱事件はなぜ起きたのか? 日中開戦直後、傀儡政権統治下で起きた通州事件を歴史的に検証する。居留民二二五名死亡。見逃された予兆、責任逃れ、プロパガンダ
日中戦争開始から約三週間後の一九三七年七月二九日。北京からほど近い通州で、日本の傀儡政権である冀東政権麾下の中国人部隊「保安隊」が突如反乱を起こした。「通州事件」と呼ばれるこの反乱により、二二五名もの日本人居留民(うち一一一名が朝鮮人)が命を落とした。しかし、通州事件には、未だ多くの疑問が残されている。「反乱はなぜ起きたのか?」「予兆はなかったのか?」「責任は誰が取ったのか?」「事件はどう報道されたのか?」――本書では、これらの疑問に対し、数々の史料を駆使して検討を加える。事件発生から八〇年が経とうとしている今だからこそ、我々は感情的で不毛な議論を排し、実証的見地からその全貌を捉え直さなければならない。

はじめに
地 図
第一章 通州事件前史
第二章 通州事件の経過
コラム その一 今に遺る通州事件の痕跡 ―「奥田重信君之碑」―
第三章 通州事件に残る疑問
コラム  その二 通州事件の歴史写真をめぐって
おわりに
あとがき
参考文献一覧


広中 一成[ヒロナカ イッセイ]
著・文・その他

内容説明

居留民二二五名死亡。見逃された予兆、責任逃れ、プロパガンダ。日中戦争開始から約三週間後の一九三七年七月二九日。北京からほど近い通州で、日本の傀儡政権である冀東政権麾下の中国人部隊「保安隊」が突如反乱を起こした。「通州事件」と呼ばれるこの反乱により、二二五名もの日本人居留民(うち一一一名が朝鮮人)が命を落とした。しかし、通州事件には、未だ多くの疑問が残されている。「反乱はなぜ起きたのか?」「予兆はなかったのか?」「責任は誰が取ったのか?」「事件はどう報道されたのか?」―本書では、これらの疑問に対し、数々の史料を駆使して検討を加える。事件発生から八〇年が経とうとしている今だからこそ、我々は感情的で不毛な議論を排し、実証的見地からその全貌を捉え直さなければならない。

目次

はじめに 通州事件とは(通州事件の再評価をめぐる論争;「水掛け論」を終わらせるために ほか)
第1章 通州事件前史(通州の成立と発展;首都防衛の要 ほか)
第2章 通州事件の経過(盧溝橋事件発生時の通州城内の警備態勢;保安隊誤爆事件 ほか)
第3章 通州事件に残る疑問(なぜ保安隊は反乱を起こしたのか;通州事件によって生じた問題はどのようにして解決されたのか ほか)

著者等紹介

広中一成[ヒロナカイッセイ]
中国近現代史研究者。1978年、愛知県生まれ。2012年、愛知大学大学院中国研究科博士後期課程修了。博士(中国研究)。現在は愛知大学国際コミュニケーション学部非常勤講師。専門は中国近現代史、日中戦争史、中国傀儡政権史。大学院時代より一〇年近く、通州事件に関する史料収集、現地調査、論考の発表を行ってきた。『通州事件 日中戦争泥沼化への道』はその成果を一般向けにまとめたものである(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

金吾

26
通州事件の概要がわかります。いろいろと詳しく調べているいますし、香月軍司令官が責任回避しているのはそうだろうと感じますが、日本軍の責任が多いという結論は違うように思いました。2023/01/14

skunk_c

19
多くの場合、中国人の犯した残虐事件として、反中・嫌中意識を煽るのに取り上げられる事件を、きちんと歴史的に位置付け直して評価しようとした若手研究者の書。華北分離工作で生まれた日本の傀儡政権である冀東政府の中国人保安隊が起こした事件について、盧溝橋事件直後の中国内の抗日意識、事前の兆候を見逃しながら責任を認めなかった現地責任者、当時この事件が新聞によって対中好戦意識を煽るのに用いられたことなどを、少ない史料を吟味しながら解きほぐしていく。史料不足を認め、不明点をそれと認める著者の姿勢に好感を持った。良書だ。2017/01/21

筑紫の國造

11
通州事件について取り扱った文章は少なくないが、本書のように日中双方の動きを学術的に、冷静に分析した本は珍しい。日本で出る同事件の本が感情的になりがちなのはある面仕方がないし、自分もそのご多分に漏れないが、やはり研究者による冷静な記述は必要不可欠だろう。このように新書で触れられるのはとても有益であると思う。何より、著者が中国近現代史を専門とするため、中国語の未刊行史料まで盛り込まれているのは心強い。疑問点や不満も出てくるだろうが、本書を踏まえてしっかりと反論をすべきだろう。自分ももう少し調べてみたい。2020/06/12

GEO(ジオ)

10
盧溝橋事件によって始まった日中戦争中に起こった、中国人による日本居留民殺害事件とされる「通州事件」について書かれた本。 なぜか中国人による日本居留民殺害事件ばかりが話題になり、その背景や前後関係や原因など、重要な部分がイマイチ話題にならない事件だが、本書はそういった部分に重点を置かれて書かれていた。 通州事件によって殺害された人々の中には、日本人のみならず朝鮮人も多くいたとか、当時、通州に住んでいた日本人の中には麻薬の売買に関与していた者もいたことなど、あまり知らなかったことも書かれていて面白かった。2018/02/01

toshiyk

4
史料に基づいて、「通州事件」について現在分かっていることとまだ分からないことをまとめた本。結果的に、所謂「歴史戦」とその反対者、双方の通俗的な通州事件観を修正する内容になっている。著者は前書きで、再発防止のために戦争の歴史と真摯に向き合うことこそ戦後世代の使命と語り、あとがきで、通州事件で犠牲となった日中双方の将兵、市民(朝鮮人も含まれる)にこの書を捧げている。なお、通州事件でも弔慰金、見舞金の額が内地人と朝鮮人で大きく違った件(p.124)に、五族協和の理想と現実を見ることができる。2017/01/25

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