出版社内容情報
それは、たった100年前のことでした…… 北海道にいたエゾオオカミが、この世からいなくなったのは約100年ほど前のこと。動物絵本の第一人者であるあべ弘士が、人間と動物の歴史をしずかに語ります。
あべ 弘士[アベ ヒロシ]
著・文・その他
内容説明
それは、たった100年ほどまえのこと…。絶滅してしまったエゾオオカミと人間の歴史をシマフクロウがしずかに語ります。
著者等紹介
あべ弘士[アベヒロシ]
1948年、北海道生まれ。1972年から25年間、旭川市の旭山動物園に勤務。飼育係として、ゾウ、アザラシ、ライオン、フクロウ、ゴリラ、ラクダ、ペンギンなどさまざまな動物を担当するかたわら、タウン誌への執筆をきっかけに絵本執筆を始める。いきものの生死に深く関わるという体験から培われた力強い作風と、動物たちに向けたユーモアあふれる温かい視線は独特で、子どもから大人まで多くの支持を得ている。1995年、『あらしのよるに』(講談社)で講談社出版文化賞絵本賞、産経児童出版文化賞JR賞を受賞。そのほかの受賞歴に、『ゴリラにっき』(小学館)で小学館児童出版文化賞、「ハリネズミのプルプル」シリーズ(文溪堂)で赤い鳥さし絵賞、『どうぶつゆうびん』(講談社)で産経児童出版文化賞ニッポン放送賞など。旭川市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ🍀
152
遥か昔から百年前まで、人間とエゾオオカミ、エゾシカやここに棲む動物たちは、尊敬しあっていたんだ。たくさんの群れがいて、仲睦まじく、やさしく、勇敢で賢く、この大地を駆け巡っておったのだ。ところがじゃ・・。…彼らの遠吠えはもう響かない。深い森の中、さむい、さむい、冬の夜が更ける頃、月あかりに誘われてきたものたちに、シマフクロウは今も語り伝えている。ここにあるはずの世界を。…あべ弘士氏の絵には、生命の力が宿る。残酷なようで必然な世界、食物連鎖から外れ、頂点に立っていると勘違いしている人間という存在を描いている。2021/12/11
ぶち
121
読友さんのお薦めで手に取りました。語り手のフクロウが聞き手のモモンガたちに語るエゾオオカミのお話しです。 北海道にいたエゾオオカミがいなくなってしまったのは100年前、本州から多くの人が開拓のためにやってきた頃でした。エゾオオカミ--エゾジカ--植物という見事なバランスが壊れてしまったのです。フクロウも言っていますが、誰が本当の“悪者”だったのでしょう。北海道に限らず、世界のいたるところで起きた問題ですし、バランスが崩れたことで新たな問題も起きています。多くの子供たちにも大人にも知って欲しい問題です。2019/12/25
榊原 香織
92
憧れのエゾオオカミ! ニホンオオカミはややヨワヨワ系だが、これは本物のがっしりした狼だった。 本当に絶滅してしまったらしく、幻の動物を探す、という対象にもならない。あんなに原生林あるのに。 ニホンオオカミは未だに探してる人いるのに。2020/12/19
yomineko@猫と共に生きる
68
エゾオオカミはたった100年で絶滅。彼らは鹿を食べ鹿は草をはみ生態系のバランスが取れていた。しかしそこに人間が介入すると、、、あとは想像の通りの酷い状態に。鹿が増え過ぎたら害獣扱いするのは人間の勝手な行動のせい。いつかきっと人間はバチが当たる。シマフクロウがゆったりと語る人間の残酷さ。アイヌの事も少し出て来て嬉しかった。2022/08/06
紫 綺
66
自然界の食物連鎖。微妙なバランスの上に立っているその関係を、自分都合で崩す輩がいる。それは「ヒト」!共存を教えるにはいい絵本かもしれない。2019/10/20