出版社内容情報
【内容紹介】
1990年。人体の1000分の1に縮小されたK大学の若い医師山里凡太郎は、3人の医師と、同じく縮小された潜水艇にのり込み、癌におかされた凡太郎の恋人の体内にもぐり込む。患部の手術を無事に終えた時、思わぬ出来事が彼らに襲いかかる……「初春夢の宝船」ほか11編を収めた抱腹絶倒の作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
56
面白かったです。周作先生はこのような軽い本も書いていたのですね。4コマ漫画を読んでいるような楽しみを味わいました。2021/05/07
活字の旅遊人
44
12の短編からなる小説集。「ユーモア」で抱腹絶倒と紹介してあるが、最後の『昔の教官殿』は笑えない。しんみりするお話。最初の『初春夢の宝船』はいかにも笑わせてやろうという文章だが、あまり馴染めなかった。その他10作は遠藤周作らしい皮肉を入れて笑いを誘う。『女の決闘』が一番好き。『俺とソックリな男が……』『嘘つくべからず』『うちの親爺』が続く。総じて戦後間もない時期の世相、雰囲気がよく出ていて、その点も興味深い。男、夫、父がだんだん弱くて儚い存在になっていく様子が切り取られているようにも思った。2022/02/23
パフちゃん@かのん変更
28
昔読んだ本が出てきたので、捨てる前に登録。1974
タカギ
24
講談社文庫創刊50周年のブックカバーが欲しくて買った本。「抱腹絶倒の作品集」は言い過ぎな気がするが、滑稽な可笑しみはある。艶笑系じゃない下ネタが目につくかな? 全12編で各20ページほど。『初春夢の宝船』はスモールライト的な発明品によって小さくなった医師団が人体の中に入って手術を行なう。手術は成功したが脱出時に問題発生…下ネタです。どぎつい話はないので、物足りない感もあるけど、ちょっとした息抜きにはいいかも。2021/11/12
まめこ
19
★★★★☆お気に入りさんの既読本から。ユーモアという概念に収まりきってない短編集。若さを嘲りつつ懐かしむ、そんな寂しさも漂う気がした。今時の手術はガンマ光線でミクロ化し、潜水艇で血管を辿り泳ぎながら患部を切除するのだ「初春夢の宝船」想いを寄せる小百合さんの手術へいざ!「我らはエジソン」岡野のアホな発明に思わず吹き出した(笑)。イケてない「うちの親爺」たちにも過ぎ去った日々はあるのだ。2021/08/19