出版社内容情報
【内容紹介】
「7日たった後、洪水がおこった。雨は40日と40夜、地に降りそそいだ。地上に動くすべてのものがみな滅びた」と旧約聖書に描かれた“ノアの大洪水”は、はたして真実の事件か。洪水を記録した粘土板や洪水堆積層が、つぎつぎに発見され、もはや疑いえない事実となった。本書はこの大洪水が、なぜおきたのかを科学的に解明し、氷河融解による海の氾濫と異常気象による河川の大出水とにあったことを、豊富な資料で跡づける。あわせてなぜ世界各地に、共通した洪水伝説があるのか、その謎をも解き、世界を襲った大異変の全貌を再現して、地球という“ノアの箱舟”に乗った人類と文明の将来を考える。
「ノアの大洪水」は過去の物語か――はるかなるかつての日、人類の草創期には、この大地の上を大洪水がたびたび襲った。その大洪水は、時には氷河の融解にともなう海の潮であったし、あふれかかる湖水の激流であった。また暴風雨によってひきおこされた大河の濁流であった。これらのすべての大洪水は、1万年このかたの世界的な気候変化と深くかかわっていた。私たちはとぎれとぎれとなった伝説や、ごく断片的な言い伝え、あるいはかすかな古代からの残響に、真実にあった過去の自然のドラマを、思いえがくことができる。しかし私たちは「ノアの大洪水」を、はたして過去の事実としてとらえるだけでよいのだろうか。いや実は、新しい「ノアの大洪水」が、私たちの前におしよせようとしているのだ。――本文より
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
でん@漫画用
1
なんとなく図書館で目に付いたので。 前半のメソポタミアの洪水を発掘された粘土板や旧約聖書、発掘された地層と絡めて語る部分は古い本だけれどとても面白い。後半、舞台がアメリカになると地質学の比重が増して伝説はあまり関係なく、日本になると明らかにかけ足になってしまうのが残念。2011/06/05
aki
0
タイトルはあやしげだが、中身はまじめ。地質学・気象学・考古学などの知見に基づき、世界の洪水伝説の元になった「歴史的事実」を探った本。ノアの洪水(メソポタミア地域発祥の神話とする)は大暴風によるもの、ヨーロッパや北米の洪水伝説は後氷期に氷河が溶けて誕生した巨大な湖が決壊したことによるものとする。世界各地の洪水伝説がノアの方舟の話と同じ構造をしていることが興味深い。中東と北米と東南アジア。人類はアフリカで誕生し、世界に散っていったわけだから、日本でいう縄文時代に世界的な大交流があったとしてもおかしくはないが。2014/01/31
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