出版社内容情報
【内容紹介】
奇病「モンモウ病」の原因究明のため、小山内桐人は犬神沢へわけ入った。そこで彼が見たものは!?そして、彼をまきこんだ陰謀とは!?手塚先生が、現代社会の病巣をするどくえぐる、衝撃のヒューマン・ドラマ!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
海恵 ふきる
11
やっぱり手塚治虫先生の作品は面白い。それは、人間の底にひそむ差別や根源的な感情を、巧みな絵やコマ表現で描き出しているからに他ならない。手塚先生本人も医者なので、特に病院のシーンがある作品はスリリングなリアリティーがあって読ませる。若く前途有望な医者が、奇病を解き明かそうとしたばかりに波瀾万丈な運命の渦に飲み込まれていく。次のページをめくる手が止まらない。あとこれは個人的な事なのだが、主人公の小山内医師の顔が自分の担当教員に似ていたのでかなり親近感が湧いてしまった。頑張れ小山内医師! 2020/03/06
たっきん
6
エロチック・奇病・差別・猟奇・見世物。暗いテーマがてんこ盛りで面白い。手塚先生はほんとあらゆる漫画の先駆者だな…2013/05/24
赤字
6
図。青年誌の手塚の中でも群を抜いてダークな印象。真っ黒。絶望的。ブラック『ブラックジャック』とでも言えそうなほど。/きっと、後にも先にもこんな漫画を描ける作家は限られた人数しかいない。他が思い浮かんでいるわけではないけれど。2012/08/28
sakotu
4
『おれはーーッ 犬じゃない 人間だーッ』2015/05/09
歩兵
4
占部は小山内への恨みを抱いて立ちまわるのかと思ったが、自分の弱さを認め小山内を頼りにする、意外と可愛げのある人間だった。婦女暴行はいかんけれども。大学名がハッキリ出てくるのとイニシャル表示になるのはどういう違いなのか。婦女暴行シーンといい、苦悩のシーンといい、言葉を使わず少しグロテスクな抽象的表現を駆使して重々しく伝えているところが面白い。小山内が台湾に連れて行かれる船の中や閉鎖的な村社会のおぞましさや残虐な事件、成金の見世物趣味等々、ホラーで残酷な描写が多く、心かき乱され正視に耐えない。2013/06/05