内容説明
西洋伝奇小説の源流、ゴシック・ロマンスの名作を歴史的名訳で復刻するシリーズ第三弾!最終巻のテーマは「怪物の創造」―ゴシックから近現代ホラーへの転換をもたらした吸血鬼と人造人間の物語集である。あの『フランケンシュタイン』の本邦初訳をはじめ、バイロン作と銘打たれた史上初の吸血鬼小説、コールリッジの哀感漂う名品『クリスタベル姫』、推理作家ガストン・ルルーの大活劇ロマン、女吸血鬼物の傑作『クラリモンド』の芥川龍之介訳、横溝正史訳によるモダン吸血鬼小品など、全12編を収録。
著者等紹介
東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年、神奈川県横須賀市に生まれる。早稲田大学文学部卒。怪奇幻想文学のアンソロジスト、評論家。怪談専門誌『幽』編集長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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YO)))
15
訳者・翻訳含めて,正しく「ゴシック」と呼ぶに相応しいアンソロジー.パブリック・イメージの原点であり,優れて文学的・詩的な題材となり得た頃の吸血鬼や人造人間たち.集中,ガストン・ルルー「吸血鬼」と,横溝正史訳のW.L.アルデン「モダン吸血鬼」の二編はエンタテイメント色が強いが,全体のバランスを考えると良い塩梅ではある. 芥川訳,ゴーティエ「クラリモンド」は,岩波文庫で「死霊の恋」として読んだもの,小泉八雲「屍鬼」冒頭に書かれているインドの伝説は,トマス・マン「シータの恋」(すげかえられた首)の元ネタだった.2014/01/25
印度 洋一郎
1
明治時代から戦前の昭和までの西洋怪奇小説の日本語訳を集めたアンソロジー。明治時代に女子高等学校(今のお茶の水か?)の機関紙で「フランケンシュタイン」が連載されていたというのは驚きだ。浮世絵師が挿絵を描いているのも、明治を感じるところ。只、至るところ~で侯(そうろう)という文体なので、初心者にはキツいかも。2009/09/18
氷沼
0
今まで読んだことのある作品でも、時代と訳者が違えばこうも印象が変わるものかという経験が出来る一冊。その価値も含め、収録作はどれもゴシック文学、吸血鬼文学として一級品なので、既読の作品が多くてもかなり楽しめました。ただ、時代が時代なので、文語体で訳されている作品もあり、そういう点ではある程度人を選んでしまうかもしれないですね...2015/05/08