内容説明
世界に冠たる百万都市・江戸は高度で華やかな文化に満ち溢れていたが、悪知恵を働かせるしたたかな「悪党」たちもまた、江戸文化の重要な担い手であった。「悪」という切り口で見れば、義の人といわれる人物の悪の側面や、悪党といわれる人物の意外な事績など江戸の真相が見えてくる。
目次
第1章 金のためなら(大名相手に取り込み詐欺の度胸・岡本大八;作られたお岩の祟り話・田宮伊右衛門 ほか)
第2章 泥棒稼業のテクニック(同心を唸らせたスリの名人・坊主小兵衛;義賊にあらざる小心者・鼠小僧 ほか)
第3章 盗賊団の素顔(刑死して神とされた盗賊・高坂甚内;謎に包まれた五人組盗賊団の頭目・雲霧仁左衛門 ほか)
第4章 暴力に理あり(夢と潰えたクーデターの真相・由井正雪;騙し討ちの旗本奴の罪と罰・水野十郎左衛門 ほか)
第5章 権力の甘い匂い(将軍の背後で蠢いた権力の黒幕・徳川治済;将軍家乗っ取りを夢見た破戒僧の娘・お美代の方 ほか)
著者等紹介
山下昌也[ヤマシタマサヤ]
高知県生まれ。中央大学商学部卒。文献・史料を渉猟し、歴史に埋もれた人物・逸話を蒐集、歴史読み物から小説まで多くの著作を発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sibasiba
14
「婿殺しを企んだ白子屋お熊」は婿が生き残ってよかった。その後の記述はないけど今度こそ幸福な結婚して長生きしたと思っておこう。「鼠小僧」が四人の女房がいてその家を転々として10年も活動したというのが凄い。「江戸城御金蔵破り」少数だが成功例があるのが驚き。「日本左衛門」は大悪党過ぎて実在の人物とは思えない。自首の理由も不透明で謎、色々想像してしまう。「純情派辻斬り魔・平井権八」は自業自得なのだけど小紫との悲恋には涙。「鳥居耀蔵」は蛮社の獄の関連で知ってはいたが本当に酷い、憎まれっ子世に憚るで明治まで生きる。2014/02/19
ごきげん
2
平井権八の部分のみ読む。 脚色たっぷりであろう歌舞伎も観てみたい。2018/05/01
めぐみこ
1
歌舞伎で有名な悪人のモデルとなった盗賊や、幕府を操ろうとしたフィクサーたち、彼らはどんな人物だったか。創作世界の悪党は、実物よりだいぶ美化されていた。でも、実際の彼らが100パーセントの悪人だったのかと言えば、それは違う。業績のどの部分が歴史に残るのか、毀誉褒貶についても考えさせられた。2017/07/18
靖
1
歌舞伎などで有名な江戸の悪党を集めた本。実際の記録が芝居ではどのように脚色されていったかもわかり面白い。白浪五人男でおなじみの日本左衛門って実在した上、本当にスケールのでかい悪党だったというのが驚き。2010/08/27
love_child_kyoto
0
江戸・裏の歴史2010/11/06