内容説明
OECDによる学習到達度調査(PISA)において、2003年に続き、2006年でもフィンランドは好成績を収めた(科学リテラシー1位、読解力2位、数学的リテラシー2位)。日本におけるゆとり教育の見直しのきっかけとなったPISA2003年調査の結果発表以降、フィンランドの教育への関心は高い。フィンランドの小学校教諭で2児の母でもある著者が、フィンランドの教育現場を語る。
目次
第1章 PISAが証明した世界一の学力
第2章 優秀な教師は、こう育てられる
第3章 いかに子どもにわかりやすく、勉強を教えるか
第4章 よくできている現場のサポートシステム
第5章 教師は、マルチ・タレントでなくっちゃ
第6章 日本で暮らして、感じたこと
著者等紹介
パッカラ,リッカ[パッカラ,リッカ][Pahkala,Riikka]
1969年、フィンランド、ポリ生まれ。フィンランドの小学校教諭。’95年、トゥルク大学で教育学修士を取得し、首都ヘルシンキの小学校教諭になる。10年間に3つの学校で子どもたちを教えるかたわら、2005年に特別支援教育の学位を取得。同年、夫の転勤に伴って来日(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
21
フィンランドの元小学校教諭で、日本在住の著者の本。まず教員になるための大学教育がしっかりしているところと、問題がある児童のためのサポート体制が充実しているところ、その二点がおそらく日本と違う点なのではないかと感じた。もちろん、モンスターペアレントやいじめがないわけではないというが、その場合にも非常に冷静な、大人の対応をしているようだ。何より子どもと向き合う真摯な姿勢に胸打たれるものがあった。2013/04/30
りょうみや
18
今回のフィンランド教育本3冊目。フィンランドの教育制度は持ち上げられているが、一教師からフィンランドの教育現場を見ると、問題児はいるしモンスターペアレントもいる。いじめはあるし、就学時で学力の差は既に大きいなど日本と同じ問題と対処しなければいけない。学費が無料でテストがないなど教育哲学的に根本的な違いがあるが、日本もまずは生徒当たりの教師の数を倍にして教師の負担を減らすなど形だけでも真似れば教育現場はだいぶ改善するように思えるが難しいだろう。2018/02/28
しゅわっち
15
学力世界1に惹かれて読んだ。著者と障害者との幼児体験は、感動した。2百数十万人の国語言語の状態は、大学で、英語原書での授業。日本に生まれたことの感謝の気持ちが芽生えました。今後aiで自動翻訳の活躍で、少数人数の国語言語が守られるのか、気になりました。ただこの本は、著者もインタビューする側も女性で、女性的会話になり、男性の私としては、興味がなくなりました。分析、考察を求める人の本ではないです。しかし、女性的な話で、著者の感動する幼児体験にも触れることができたのも事実です。 男性女性の興味は違いますね。2019/06/21
まめタンク
9
フィンランド教育の実態をフィンランドの小学校(正確には低学年)を教えていた先生が語るフィンランド教育の実態。現場の先生の著書ということもあり、とても具体的にフィンランド教育について述べられているのが興味深い。ただ、日本の教育とフィンランド教育の違いを明確に現せていないのが少し残念な所。でも、フィンランド教育本の中では一番踏み込んだ位置にある本ではないでしょうか。2010/09/29
ラグエル
6
「フィンランドには天然資源もなく、林業以外これといった産業もない小さな国です。世界に誇れる企業が数多くあるわけでもなければ、自給率を誇ることもできず、多くを輸入に頼っています。そういう国では、人に投資しないと未来はない」。こういう発想が宮城や岩手にあるべきでしょう。何やってたんだか。「経済不況の中での限られた予算を投資するなら、いちばん有効なのは子どもたちへの教育」日本でやるには、日本国としてはもう小回りがきかない状態なんじゃないか。地方行政でやったらいいんだ。「学ぶ者が手厚く守られている」体制は。2011/05/20