感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
本の紙魚
2
9歳頃だったと思う。学校で借りたこの本が大好きで、何度も何度も繰り返し読んだ。コケモモを食べてみたいと思ったり、学校の帰りに摘んだ野イチゴでモッサとラーバのマネをしてジュースを作ったりした。コケの絨毯とリスの毛で飾られた、橋の中のトロルの家に自分も住みたくてたまらなかった。今、何十年ぶりにページをめくると、古い本の香りとともになつかしい思い出が蘇ってくる。挿絵画家が「小さな魔女」や「小さな水の精」と一緒だと初めて知った。孤独なステュッべが徐々に心を開き、最後に居場所を見つけた場面はあの頃よりも心にしみる。2021/03/30