出版社内容情報
★第31回電撃小説大賞《電撃の新文芸賞》受賞作★
カフカは空が見えない浮遊洞窟内にある老人ばかりの村で暮らす唯一の子ども。外の世界に憧れを抱きながらも、村に縛られる日々を過ごしていた。
ある日、地上からの来訪者・ハヤテが現れる。なんと彼は、ヒトとは違う犬の特徴を持つ獣人だったのだ。ハヤテの語る刺激的な地上の話に感化されたカフカは、ついに村人たちの反対を振り切り――亡き祖父が遺した飛行機〈コチ三〇六〉を駆り夜明けの空へと飛び出していく!
温かく見守ってくれる大人たちや同世代の友達と出会い成長するカフカは、やがてこの世界のヒトたちの間に起こった悲しい過去を知ることになる。だけどカフカは飛ぶことをやめない、知ることを諦めたりしない。だって――私たちの人生の全てが冒険なのだから!
国内最大規模の公募型小説賞「電撃小説大賞」が贈る、全ての世代に伝えたい感動のジュブナイルアドベンチャー!
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
26
浮遊洞窟内の老人ばかりの村で暮らすカフカ。ある日、地上からの来訪者ハヤテと出会い刺激を受けた彼女が、亡き祖父が遺した飛行機で夜明けの空へと飛び出していく青春小説。ヒトとは違う犬の特徴を持つ獣人のハヤテの話に魅せられて、村人たちの反対を振り切り家出同然で旅に出たカフカ。温かく見守ってくれる大人たちや同世代の友達と出会った彼女が、祖父の友人と出会って悲しい過去を知ったり、ハヤテと一緒にエアレースに参加したりしながら、困難に直面しても諦めず、周囲の助けも借りて挑戦するカフカの頑張りを応援したくなる物語でしたね。2025/07/16
わたー
14
★★★★★面白かった。老人ばかりが住む空に浮かぶ洞窟。住人の中でただ一人の少女カフカはジジババたちよって大切に育てられていた。ある日、交易船に紛れ込んでやってきたイヌ類の郵便配達員ハヤテと出会ったことで外の世界への憧れを抑えきれなくなったカフカは、祖父の遺した旧式の飛行機を使って大空へと飛び立ってしまう。13歳になった彼女の一夏の家出を描いた物語。どこまでも遠く澄んだ青空のような爽やかな作品だった。閉鎖された環境で鬱屈とした思いを抱えていた主人公が、偶然の出会いによって持ち前の行動力を十二分に発揮し、2025/07/21
サキイカスルメ
14
外の世界に憧れて家出した少女が、自分とは違う種族の人たちと触れ合い成長していくファンタジー。世界が広がることで、どれだけ自分が愛されていたのかに気づくのがまさに成長だと感じましたね。素敵なお話が読めて嬉しい。カフカとクレオの友情がすごく好き!!最初はツンツンしていたクレオが心を開いてからの可愛さと健気さよ。カフカと離れたくないと泣く姿なんて見せられたらもう。ヘルガやハヤテ、カフカに親切な大人たちもよかったですね。ハヤテは一緒に遊んでもくれるお兄ちゃん、ヘルガは終盤での啖呵と大人の矜持がカッコよかった。2025/07/21
とってぃー
10
カフカの成長がとても眩しい!13歳の少女が祖父の飛行機で冒険に出る物語。外の世界の輝きを吸収して羽ばたいていく姿が、情景と心理描写にこれでもかと現れていて良かった。カフカを取り巻く大人達はそれぞれの事情があるものの、温かさがあってほっこりできる。温かさだけじゃない根深い過去の記憶があるものの、カフカが成長した姿に寄り添う大人の形は、子どもにも大人にも読んで欲しいという作者様の意志を感じ取れました。『カフカだから大切なんだよ』と、本作の登場人物達が口に揃えていう言葉を間違いなく感じ取れる、素晴らしい作品。 2025/07/17
MoriTomo
7
老人ばかりの村で暮らしていた唯一の少女が、地上からの来訪者との出会いをきっかけに、外の世界へと羽ばたいていく物語。閉ざされた世界から広がっていく描写や、期待に胸を膨らませる心情が丁寧に描かれていて、少女の好奇心がどんどん膨らんでいく様子に躍らされて面白かったです。 また、地上で出会う獣人たちとの温かな交流も印象的で、種族の違いや過去の悲しみを乗り越えながら成長していくカフカの姿に強く惹かれました。自らの意志で行動を選び、困難にも諦めずに進むその姿は応援したくなる魅力があり、心に残る素敵な物語でした。2025/07/20