- ホーム
- > 和書
- > 文庫
- > 日本文学
- > メディアワークス文庫
出版社内容情報
第26回電撃小説大賞《選考委員奨励賞》受賞、心揺さぶる圧倒的衝撃作! 戦死した兵士の“最期の声と記憶”を届ける遺品返還兵――通称・死神。キャスケットは任務を通し、残された人間の想いと真実を知っていく。
内容説明
統合歴六四二年、クゼの丘。一万五千人以上を犠牲に、ペリドット国は森鉄戦争に勝利した。そして終戦から二年、狙撃兵・キャスケットは陸軍遺品返還部の一人として、兵士たちの最期の言伝を届ける任務を担っていた。遺族等に出会う度、キャスケットは静かに思い返す―死んでいった友を、仲間を、家族を。戦死した兵士たちの“最期の慟哭”を届ける任務の果て、キャスケットは自身の過去に隠された真実を知る。第26回電撃小説大賞選考委員奨励賞受賞作。
著者等紹介
酒場御行[サカバミユキ]
『そして、遺骸は嘶く』で第26回電撃小説大賞“選考委員奨励賞”を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
32
統合歴六四二年、一万五千人以上を犠牲にクゼの丘で終わった戦争。その終戦から二年、兵士たちの最期の言伝を届ける任務を担っていた狙撃兵・キャスケットが陸軍遺品返還部の一人として遺族たちに会いに行く物語。女装して徴兵から逃げた弟、家の事情で娼婦にならざるをえなかった婚約者、精神を病んだことに気づかない息子、蔑まれていることに気づかなかった青年、そして変わってしまった兄官など、戦争が終わっても続く悲哀があって、失われたものの大きさを突き付けられる印象的な物語で、個人的には第二章の金猫さんのエピソードが好きでした。2020/04/23
七月せら
23
戦争が終わって。行かないで、帰ってきて、と願い願われた人々の、願い通りではない再会の時。それぞれの戸惑いや慟哭や決意がひしひしと伝わってきて胸を衝かれんばかりでした。深く刻まれた傷跡を魔法のように消し去ることはできなくとも、一歩踏み出す明日が今日より少しだけ良い日になって積み重なっていくだろうと、そんな風に思えました。2021/01/11
Yuri
16
戦死した兵士の遺品を届けるキャスケット。舞台背景とか設定は細かいのですが、登場人物にあんまり入り込めず勿体なかった感じです。文章も硬い感じと砕けた部分とのバランスも気になりました…。2023/01/25
なみ
14
凄腕の狙撃兵として戦場を生き抜いたキャスケットの今の役目──それは、亡くなった兵士たちの、最期の言葉を遺族たちへ届けること。 残酷さの中にある、わずかな美しさを掬い上げるような文章がよかった。 特に二章が好きでした。 "たかが死神如きが、引き離せると思うなよ。"2020/03/01
みんにゃりん
11
【献本】積まずに読了!初読の印象はヴァイオレットエヴァーガーデンを真似たような作品。届けるのが手紙か遺品かの違いこそあれ、その行為を通じて自分の感情と向き合うような内容です。(慕っている上官を喪失的な設定もね。)似てるのは設定だけでなく、主語(語り手?)が誰かわからなくなったりするような書き方も似ています。作者はなんか雰囲気に酔って書いてるのでしょうが、読み手には何が言いたいのかよくわからない箇所が割と頻繁に訪れます。こんなに感情の無い彼に妻子がいた違和感とか。消化不良な部分がいっぱい。リジェクトしたい。2020/03/23