内容説明
フランスのある田舎町。老紳士マネスキエは古い邸宅を守り、街を出ることさえせず、変化のない毎日を送っていた。ある日、町にひとつだけの小さな駅に列車が入ってくる。そして犯罪を繰り返し、街から街を流れるミランはある計画を企てて街に降り立った…。ミランとマネスキエ。ふたりは淋しい町で偶然巡り会う。正反対の人生を送ってきたはずのふたりだったが、なぜか互いの存在に惹かれあっていく。同じ運命が二人を待っていることを知っていたように。ほんの一瞬だけ交差するふたりの人生のレール。そして列車はまた、別の方向へと走り出す…。四日間の静やかな友情を、哀切のなかに描き出した感動作。
著者等紹介
クロッツ,クロード[クロッツ,クロード][Klotz,Claude]
1932年マルセイユ生まれ。フランス語教師をするかたわら、執筆を続け’68年にデビュー。パトリック・コーヴァンのペンネームで、『ムッシュ・パパ』、『リトル・ロマンス』といったヒット作を世に送り出す。後者はジョージ・ロイ・ヒル監督の手により映画化され、世界的な注目を浴びた。そして’90年に本名のクロード・クロッツ名義で『髪結いの亭主』の脚本を執筆、セザール賞候補となった
藤丘樹実[フジオカキミ]
1950年生まれ。慶応義塾大学文学部フランス文学科卒。仏文学翻訳者
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感想・レビュー
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みなみ
4
映画化する物語を小説に書いた原作本。映画を見ずに買った。街や館の描写が非常に細かくて、映像化されたらさぞかし雰囲気があるだろうと感じる。淡々と進む物語は最後で急転してクライマックスを迎える。その後を想像すると楽しい。2020/01/20
てぬてぬ
2
-50 「私はよく自分に問題を出したが、答えを出さないように気を付けていた。その問題をもう一度出すのだ。疑問は人間を作る。それも、その疑問が何の役にも立たないときに」「彼女の本当の目的は、私からペニスをもぎとって、持ち去ることだったような気がしたものだ」2018/10/17
ほしいもアボカド
0
~歯車をゆっくり静かに動かす出会い。一期一会。2016/12/08
ガミ
0
全く違う環境で過ごした人との出会いは、どういう物であるかということを考えるきっかけになりました。それは、最初は私たちを不安にしますが、必ず変化をおこし、大きな影響を与えるものと、本書を読み終え、わかりました。一度も町を出ない老紳士マネスキエが四日間の出会いによって、旅立つ時、彼には大きな「希望」、「期待」、「可能性」を持っていたと思います。2005/12/22
maikajasper
0
新刊本で図書館にあったので借りてきた。フランスの本だが、あまり面白くなかった。ミランとマネスキエ、正反対の人生を送った二人の4日間の物語。2004/08/28