祈りの階段

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  • サイズ B6判/ページ数 159p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784048980906
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

ヨークシャー地方の港町ウィットビー。修復士のシーアンは、7世紀に聖ヒルダが建立したウィットビー大修道院の廃墟で発掘に参加している。この地に到着してから、彼女は毎晩、おそろしい悪夢にうなされる。夢のなかで、いつも男に首を切り裂かれ、血みどろになるのだ。シーアンは毎朝、高台にある大修道院へ向かうため、199段の石段をのぼってゆく。ある日、そこでハドリアヌスという犬を連れた、マグナスという男性と出会う。知り合ってまもなく、彼は父親の遺品だという、小さな瓶に入った手紙をシーアンにさしだす。それは18世紀に書かれた秘密の告白録だった。判読を試みるシーアンの手によって、1ページずつ明らかになるその内容とは…。中世の修道院、18世紀の悲劇、現代のシーアンとマグナス。ドラキュラ伝説で有名なウィットビーを舞台に、過去と現在が交錯する“ゴシック”な愛の物語。

著者等紹介

フェイバー,ミッシェル[フェイバー,ミッシェル][Faber,Michel]
オランダ生まれ。オーストラリアで育つ。現在はイギリスのスコットランド、ハイランド地方に在住。ヴァラエティあふれる短編集Some Rain Must Fall(1998)で作家デビューし、数々の賞を受賞。処女長編『アンダー・ザ・スキン』(2000、アーティストハウス)は、ひとつのジャンルにおさまりきらない内容と、叙情的な文体が絶賛され、14カ国に版権が売れる。現代イギリス文学において、もっとも筆力のある書き手のひとり

林啓恵[ハヤシヒロエ]
国際基督教大学卒、歴史学専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アカツキ

11
修復士シーアンは遺跡発掘活動に参加するためヨークシャー地方の港町ウィットビーにやってきたが、毎夜、男に首を切られて死ぬ夢を見るようになる。そして犬を連れた青年と知り合い、彼が所有する18世紀の告白書を解読することに…。シーアンと青年のほのかなロマンスと、悪夢と告白書の関係。全体的に物悲しい雰囲気が漂うけれど、爽やかなラストで良かった。犬のハドリアヌスが可愛い。2019/11/01

timeturner

8
読み終えてみると通俗ロマンス小説だった気がするものの、修道院廃墟、悪夢、ボスニア、片脚切断、ドラキュラ伝説、古文書の修復と解読、18世紀の宗教的戒律といった魅力的な要素に好奇心をそそられ、ゴシックな雰囲気に惹かれて一気に読んでしまう。2018/07/14

くさてる

8
冒頭からぐっと惹きつけられた。夜ごと男に首を刎ねられる夢を見る考古学者と、瓶の中に閉じ込められた18世紀の手紙の謎。ロマンスめいた部分とゴシックな恐怖小説を思わせる部分が融和していても違和感がないのは、そのどちらにも深く「女性の孤独」が関わっているからだと感じた。常石を外した感じのラストがとても良かったです。犬好きのひとにもおすすめ。2014/01/22

saba

1
今年始めにウィットビーを訪れた。びゅうびゅうの北風が吹き、どこからでも修道院の姿が見えて、太古の地層からは化石が山盛りに出る。きっと中世から変わらない姿であろうと思われた街だった。今は取り巻く現実の世界のほうが変わってしまったが…。廃墟の修道院で遺跡調査に従事する修復士、長い階段で出会ったひと、ドラキュラ伝説、戦争にまつわる苦い傷、瓶の中の遺書。めちゃくちゃ盛れそうな要素が次々とちょい出しされていくのだが、これ本当はもっと長い話だったとかってことはないのか??それに犬の鳴き声は…独特さの表現なのかな…。2020/08/31

はちみつぐすり

1
瓶の中の手紙に書かれた18世紀の悲劇が、ウィットビーという場所と血まみれの夢を伴って現代の主人公へと迫りくる。夜の孤独がにじむゴシック小説。199段の石段の先にある大修道院跡を見てみたくなった。2012/12/20

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