内容説明
「別の女性に心を奪われているんだ」とぼくは言った。妻はぼくと違って、自らの人生に幻滅したり失望したりしたことが一度としてない。感情が揺れ動く範囲はきわめて狭い。友人は言う。「結婚とは戦いであり、地獄の季節なんだ」と。ぼくが求めているのは絶対的な誠実さ。優しくて完璧な親密さ(インティマシィ)を求めるのは欲張りすぎなのか?ほとんどなにもかも知りつくし、そしてぼくにとってもはや必要としなくなった女性と過ごす最後の夜。すぐにもぼくらは他人同士になるだろう。いや、同じ過去を共有する危険な知り合い同士となるだろう。人生の意味について真剣に思い悩んだ人々に送る、クレイシの最高傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hirouch
5
信念とは主観的な考えの中の、その時々で最もしっくりくると思える形のことだ。つまりはただのぼやきである。ぼやきながら求めつづけるのは、何かに接近した瞬間=点に訪れる恍惚であるのだろう。しかし、あれが良かった、と振り返った時には既に点には接していない。認識できるのはいつも今から見た過去である。最高の頂が常に瞬間であるなら、人は瞬間瞬間を精一杯生きるしかないではないか。僕が動いているのか、周りが動いているのか、それは問題ではない。物事が流れ、動いているという事実は同じなのだから。2015/05/07
まおまお
3
70年代のイギリスの若者って、感じがした。文章が緻密なのがいいんだろうか。ある男性の正直な内面の吐露が延々と続いてるのにも関わらず、一日の出来事でしかないところがすごいわ。このひとの妻でなくて良かった、としか他に感想がない…。2014/03/07
pinky
0
2000年頃に読んだ記憶が。
オガタケンイチ
0
★★★★2017/07/24