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出版社内容情報
“本の表情”を創りだすお仕事『装幀家』。次なる仕事は“恩人探し”に“新人探し”――?
会社の合併によりコンビで仕事をすることになった本好きの装幀家・わらべと、売り上げ史上主義で本の内容は気にしない巻島。二人に任せられた次なる仕事には、ふたつの“探し物”が絡んでいた。
幼い日、演奏で自分を救ってくれた名も知れぬ恩人に直接お礼が言いたい盲目のヴァイオリニストからの依頼。
人気小説家の装画を描いてもらう、新人イラストレーターを探す装画コンペの審査員。
『装幀室』で巻き起こるドラマ、全二篇をお届けします。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
papako
67
続けて。うーん、わらびの仕事に対するというか考え方が気に障る。そして巻島との仲をあおるのも面倒。話自体は面白いのに、そんなことが引っかかって素直には、楽しめなかったな。ネットの炎上に対して『検閲』言えてる。ある意味焚書だわ。まぁ、安かったし。それなりに楽しめたしね。文章やキャラが苦手だったんだな。2018/11/27
スズ
57
盲目ヴァイオリニストの恩人探しの為の装幀作りや、人気作家の装幀を担当するイラストレーターを選ぶ装幀コンペの2話構成の2巻。親に反対されながらも懸命に絵を描き続けた希美の頑張りに応援したくなる気持ちが膨れていき、家業を継がずに絵描きの夢に拘り続ける娘を罵詈雑言で罵る父にはイラっとしましたが、偏見だらけのあの親父が娘の努力を裏切った者達の前へと乗り込んで大声で激昂する姿は娘を愛する父親そのものでした。本は読んで貰えなければ意味がない。だから売れる装幀を作って一人でも多くの人へ届けたいという想いに溢れていました2020/06/16
のんき
52
装幀は、本のジャケットをつくります。本の表情をつくります。巻島とわらべの迷コンビは、今回も笑わせてくれます。盲目のヴァイオリ二ストの話しはよかったなあ。小さいときに交通事故で、目が見えなくなり、声も出なくなりました。あるとき、病院の音楽室で、生きろと、音の光が見えます。ヴァイオリンの旋律でした。彼は、もしかしたら、目が見えなくても、話せなくても、ヴァイオリンなら弾ける、生きていく術があると思いました。それから猛練習して、有名なヴァイオリニストになります。人って音楽や本で人生が変わることもあるんだなあ2017/08/06
kei302
48
第2話『検閲』かなりの力作で読み応えがあった。〈これは現代の検閲です。善意を装い、有害図書だと決めつけ糾弾する。炎上したからと言ってやめてしまえば、これを好きだと思う読者のもとには届けられない〉表紙イラストコンペの結果を覆す広告代理店、逆らえない審査員たちと出版社。理想を喚くばかりで、なにもできない装幀家の本河わらべとは対照的に、根回しと裏での動きが鮮やかな巻島が格好いいです。いい作品だと思う。社会人なのにギャンギャンうるさい本河わらべがちょっと...2020/06/21
よっち
43
幼い日、演奏で自分を救ってくれた恩人に直接お礼が言いたい盲目のヴァイオリニスト、人気小説家の装画を描く新人イラストレーター発掘コンペの審査員に、本好きの装幀家・わらべと売上至上主義で巻島のコンビが挑む第二弾。前回いろいろ衝突したり意外な事実が判明したのが良かったのか、わらべの猪突猛進ぶりは相変わらずでしたけど(苦笑)、彼を尊重するようになったり、巻島がうまく彼女の意図を汲み取っていい感じにまとめたりコンビがいい方向に作用してきましたね。今回の装幀絡みの話も興味深くて、続巻あるようならまた読んでみたいです。2017/07/26