出版社内容情報
人間の業、鬼の宿命――。
有名な童話「桃太郎」と「泣いた赤鬼」を、板倉俊之が、オリジナル要素をふんだんに盛り込み、独自の視点で新たな物語に!
イラストは、『テガミバチ』(集英社)、TVアニメ『どろろ』のキャラクターデザインなどで人気の漫画家、浅田弘幸氏の描き下ろしの美麗なイラストは必見。
(短編『パーフェクト太郎』と、中編『新訳 泣いた赤鬼』の2編を収録。)
内容説明
赤鬼は指のない右手の平で、桃太郎を弾き飛ばした。背中から地面に激突し、そのまま勢いよく後ろ向きに転がり、やがて仰向けになった。いっしょになって飛ばされたらしく、切断した片方の角が、近くで固い音を立てた。痛みすら感じなかった。肉体はもはや、感覚を失いつつあった。「桃太郎」の凄惨なまでに苛烈な戦いを描いた傑作『パーフェクト太郎』の他、1編を収録。
著者等紹介
板倉俊之[イタクラトシユキ]
1978年1月30日生まれ。埼玉県富士見市出身。吉本興業所属。NSC東京校4期生。98年に堤下敦とお笑いコンビ「インパルス」を結成。すべてのコントの作・演出を担当する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
118
躍動感溢れるアクションに圧倒されつつ最後にジワジワ迫り来るシュールさはまさにインパルス!誰もが知る桃太郎と泣いた赤鬼をアレンジして描かれるのは鬼の悲哀そして人間の…「パーフェクト太郎」いやそれスーパーサイヤ人かよ!?と楽しませた上で、最後に明かされる犬・猿・雉の“仲間”やおじいさん・おばあさんの真実は悪くない!「新訳 泣いた赤鬼」は全く異なる導入に戸惑いながら超展開にもう夢中!いつぞやか人の道に反する奴らに憤り赤鬼と共に頬をつたう涙…「恥を知れ、外道が!」でもね、ラスト付け足し掌編はちょっとやり過ぎ(笑)2023/01/10
タイ子
87
インパルスの板倉俊之さん作品。「桃太郎」と「泣いた赤鬼」をベースに、もしもこんな話だったら見方、考え方が違うのではという内容。「桃太郎」を「パーフェクト太郎」として、昔話を読んでて違和感や疑問を感じたところを鋭く突いているので面白い。何故桃だったのか、キビ団子一つで重労働は割に合わないだろうその訳は…。人は知らなくていいこともある、知ってしまえばそれは裏切りになる。違った講釈もいいんじゃね?と思った次第。「泣いた赤鬼」はゲーム戦線が全面に出すぎだが、鬼と人間の関係性は面白い。何より人間は怖いという事かな。2021/10/08
ケイト
66
インパルス板倉さんが書いた小説。『桃太郎』『泣いた赤鬼』をベースにした新解釈おとぎ話。装画がとってもステキ!!実は鬼の方が純粋で、人間の方が狡猾で欲にまみれていたりする。案外こうだったのかもしれないと思っしまう。桃太郎はスーパーサイヤ人、もとい完全無敵なパーフェクト太郎になったらしい『そして幸せに暮らした·····ふりをした』(笑)なんか文章の端々にコントを思い出し、とっても面白かった。2021/08/14
オーウェン
57
インパルスの板倉の新作。 やっぱり書き手としては、かなりの才能とアイデアを持っていると言わざるを得ない。 御伽というだけあり、鬼にまつわる2作。 何と言っても「パーフェクト太郎」のアイデアに尽きる。 誰もが知っている桃太郎を完璧の水準まで引き上げたという話。 始まりは一緒だが、実は家来の3匹にも裏があり、鬼にも秘密があるし、挙句の果てには桃太郎にまで秘密が。 漫画的な話でもあるが、一応のハッピーエンドという括りも見事。2021/06/26
ポチ
51
元の話はお伽話の『桃太郎』と『泣いた赤鬼』。装画の物哀しさと相まって読後感も淋しさや哀しさで心がいっぱいになった。とても沁みる良い作品。インパルス板倉さん、恐るべし。別の作品も読んでみたくなった。2021/02/28