内容説明
晴れて第一志望の教育学部に入学した榛名なずなだったが、大学生活は苦労の連続だった。それでも弱音を吐くことは出来ない。彼女には絶対に譲れない夢がある。何としてでも教師にならなければならない理由があるのだ。そんな日々の中、彼女はとある窮地を一人の男子学生に救われる。寡黙で童顔な、突き放すような優しさを持った使上の同級生。二つの夢が出会った時、一つの恋が生まれ、その未来が大きく揺れ動いていく。愛と死を告げる、新時代の恋愛ミステリー。
著者等紹介
綾崎隼[アヤサキシュン]
1981年生まれ。新潟市出身。第16回電撃小説大賞“選考委員奨励賞”受賞作の『蒼空時雨』でメディアワークス文庫よりデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優愛
136
「私を名前で呼んでくれませんか」これが最後のお願いです――叶わない未來を前にして泣きながら笑うんだね。優しく苦しげに。その響きは切羽詰まったあまりに哀しげな声だった。涙の数だけその未來を満たすことが出来るなら、それが約束された確かなものならば。透弥は彼女の側でもっと泣き崩れていたのかもしれない。彼女はそれをわかっていたのかな。長い月日が過ぎた今、君のいないこの世界で花が咲いた。それは夢を希望に育つ花。君を迎えにいく日までこの花を大切に育てよう。その姿に君を重ねて生きていこう。これが彼女の言う小さな幸せ。2015/01/29
❁かな❁
122
綾崎隼さんは蒼空時雨を読んで好きになりました♪こちらの作品も本当に素敵なお話でした☆綾崎さんは甘いだけの恋愛小説ではなく、トリックがあるところもスゴイです!第一部、第二部に分かれていますが二部からはほとんどずっと涙が止まりませんでした(;_;)二部での榛名の思いや強さ、透弥の言葉には出せない思いなど読む度に号泣です。私はよく泣いちゃいますが、この作品が今までで一番泣いたかも知れません。『私は目覚めるように恋をした』『世界で一番美しい言葉、好きな人が呼んでくれる自分の名前』の表現も素敵☆大好きな作品です♡2013/06/02
アメフトファン
94
人を愛する事の大切さ、夢を見る事の大事さ、そして一日一日を精一杯生きる事の大切さを教えてくれた物語。いつか誰もがこの世とお別れするけど、人の想いは誰かに受け継がれていくのですね。生きる事に勇気を与えてくれたこの本に感謝。2013/11/18
さおり
91
図書館本。裏にあるあらすじと、目次、さらにプロローグ読んじゃえばもう、どんな構成で何が起こるのかが全部わかってしまう。でもねー、わかってたって泣くのよ。ぽろぽろと、もーいいわっちゅうくらいに涙が出ちゃう。この手のお話はしらけちゃって涙が引っ込んじゃうことも多い天邪鬼な私ですが、そこはやっぱ、綾崎さん。私の涙スイッチの押し方が絶妙。前半は大学生のお話なんだけど、同じく地方国立大の教育学部生だった私はずいぶん懐かしく感じました。遠いなぁあの頃。2016/07/07
さばかん
70
(仕掛けには第二部を読み始めて早々に気付いてしまった……) こ、これは個人的にあまり好みではないパターンの構成だった。 でもエピローグでは目に涙が溜まってしまった。 生きる意味。 受け継がれる意志。 生きた証。 未来へ生きる。 幸せになるために。 良いお話だった。 切ないお話だった。 美しいお話だった。 (余談ではあるが、綾崎隼作品にミステリーと冠するのはそろそろやめないか。ただ叙述トリックで騙してるだけなのをミステリーというのには若干の違和感を否めない。全てではないが)2013/02/17