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内容説明
『お前にこれ以上、ヴァイオリンを続ける価値はない』相も変わらず、竜ケ坂商店街フィルハーモニー、通称『ドラフィル』でコンマスを続けていた響介。しかし急にかかってきた父・統からの電話と唐突なその物言いに、響介のヴァイオリンの音色は大きくかき乱される。そんな彼に発破をかける七緒だったが、彼女の元に送られてきた『ある物』により事態はより混迷を極め―!?商店街の個性的なメンバーで贈る「音楽とそれを愛する人々の物語」待望のシリーズ第2弾が登場。
著者等紹介
美奈川護[ミナガワマモル]
会社員。第16回電撃小説大賞“金賞”受賞作『ヴァンダル画廊街の奇跡』(電撃文庫)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
68
一挺のバイオリンに絡みあった響介の父と叔父の過去が明かされる。しかし、サティってすごいな。“嫌がらせ”の曲、聞いてみたいけど3分くらいで降参しそう。音楽家達の業の深さを感じる巻だった。2020/09/10
dr2006
53
第二弾は読み応えの音楽ミステリー。優雅な演奏は綺麗だが、音楽は綺麗事だけでは語れない。オールドと言われる時代のヴァイオリンの名器の中には、制作者や所有し演奏した人々の様々な思いが宿る。名器に負けない猛練習、楽器に込められた執念の慟哭。竜ヶ坂商店街のドラフィルが定演間近のある日、指揮者七緒のもとに一艇のヴァイオリンが贈られてきた。裏板には主人公響介の父の名前がサインされていた。事故でヴァイオリンを弾けなくなった七緒と父の呪縛から逃れられない響介の苦悩を嘲笑う。クライマクスはラ・カンパネラを聴きながら読んだ。2020/08/16
hnzwd
40
シリーズ第二段。今度は主人公の過去からの脱却が描かれます。少しずつ積み重なる小さな事件が、最後の演奏シーンに集約されていく構成は前作と同じ。ラストシーンの演奏描写は素晴らしく、すべてが音楽により許されていく感じ。。。音楽ってそういうものだ、と信じたいかも。2013/04/26
さばかん
37
とても濃密な一冊でした。和解の一冊だった。赦す一冊だった。受け止めて、受け入れて、理解して、許容して、昇華する。旧友、兄弟、母娘、父子……先へ進めるように。 それにしてもこの作品の女性はよく不貞を働きますね。遺憾です……。 これで完結ですかね。もっと読みたいですが。2012/09/28
nins
34
ドラフィル続編。テンポはそのままに親子の関わりを巡る話へ。個性的な面々に新メンバーも加わってますます騒がしく。爺達同士の微笑ましい対決やメンバーの母親問題などを挟みつつ、本題は七緒と母親問題、響介と父親との確執問題へ。世界的なヴァイオリニスト羽田野仁美のストラディヴァリウスの贋作疑惑。音楽の魔物と言われる存在感。悩み、迷い、葛藤。周りを固めるドラフィルのメンバー達の想い。アマオケの力。音楽とともに歩む響介の成長。今回の話も素敵。演奏場面がもっと読みたい。さぁヴァイオリン協奏曲第2番鐘のロンドが鳴り響く。2012/12/12