出版社内容情報
一首一首、自分の目で世界を見るところから、歌を生む。言葉から言葉をつむぐだけなら、たとえばAIにだってできるだろう。心から言葉をつむぐとき、歌は命を持つのだと感じる。 迢空賞受賞後初、待望の第7歌集。
目次
1(銀杏は降らず;笑う干し柿;アボカドの種;上澄みの恋;島へ ほか)
2(笑いたい夏;東京オリンピック2020;真夏のマスク;朝の楽器;ホスト万葉集 ほか)
著者等紹介
俵万智[タワラマチ]
1962年、大阪府生まれ。85年、早稲田大学第一文学部卒業。86年、「八月の朝」50首で第32回角川短歌賞を受賞。87年、第1歌集『サラダ記念日』を刊行、翌年同歌集で第32回現代歌人協会賞を受賞。96年より読売歌壇選者を務める。歌集に『かぜのてのひら』『チョコレート革命』『プーさんの鼻』(第11回若山牧水賞)『オレがマリオ』『未来のサイズ』(第55回迢空賞、第36回詩歌文学館賞)など。評論に『愛する源氏物語』(第14回紫式部文学賞)『牧水の恋』(第29回宮日出版文化賞)『あなたと読む恋の歌百首』など。現代短歌の魅力を伝え、すそ野を広げた創作活動により2021年度朝日賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
157
久しぶりにじっくりと俵万智さんの歌を堪能した。一つ一つに情景が浮かび、その余韻が堪らない。歌と歌の間を渡る空気が狭かったり広かったり、深かったりして沁みるのが多かった。N〇Kプロフェッショナルの放送を観た時も感じたが、この方も歳を重ねたのだなぁと・・(自分はもっと重ねているのに)『サラダ記念日』や『チョコレート革命』を読んだ頃が懐かしい。それらも良かったが、今歌集が好きだ。2023/11/14
シナモン
113
ほぼ同世代の俵さん。NHKの特集も見ていたので興味深く読んだ。ご両親のこと、息子さんのこと、コロナ禍のこと。飾らない言葉で紡がれる短歌は親しみやすく共感しまくり。装幀も素敵だし手元に置いておきたくなる一冊でした。「人生の予習復習 親といて子といて順に色づく紅葉」「クリスマスマーケットに買うマグカップ確かに今日があったしるしに」「優しさにひとつ気がつく ✕でなく◯で必ず終わる日本語」 2024/01/23
チーママ
73
短歌もいいなぁ。俳句はいっときハマって句会に参加したり、今でもテレビの俳句番組を見ては楽しんでいるけれど…。短歌は、季語など関係なく自由に言葉をチョイスして思ったままをつぶやけるところがいい。瞬間のひらめきを大切にできそう。だから読み手にストレートに伝わってくるのかもしれない。朝ドラ「舞いあがれ」を見て、俵さんが登場人物になりきって詠まれた秋月さんの歌にはキュンとした。あの恋は切なかった。息子さんへの愛、ご両親への思い、ご自身の闘病など、心にビンビンきて泣きそうだった。手元において何回も読み返したい歌集。2024/03/22
けんとまん1007
69
その時々の社会の在り様だったり、自分自身のこれまでを想い出しながらの時間。息遣いが聴こえてくる。決して、大仰な表現でないからこそ、響くものがある。そんな句集だと思うし、それが俵万智さんの世界。2023/12/25
あや
54
2023年10月30日刊行の俵万智さんの最新歌集。ご病気で入院されていたのは知らなかった。宮崎からご両親のお住まいの仙台へ。受験生から大学生になる息子さんと歳を重ねるご両親。囲碁がお好きなお父様は私の父も囲碁が好きだったので親近感。息子さんは03年生まれだそうで私の甥は05年生まれなのでこちらも親近感。コロナや五輪の歌も良い。現在の恋愛の歌も良い。還暦を迎える頃私はどんな恋愛をしているだろうなんて考えたことがなかった。 関係を分類できず見上げれば名前を持たぬ星がまたたく2023/11/05