出版社内容情報
きれいな日本語をありがとう。異国に暮らす期待や不安を、持ち前の負けん気と知性で、良質な「日本語」の詩に変換する。こんなに透き通った日本語は日本人でも書けないだろう。
内容説明
私らしく生きていくための短歌。詠むことで見つめ直す日本での暮らし。運命のように出会った短歌が私を変えた。私よりも私らしい本当の私が見えてくる。韓国から日本に来て8年。角川短歌賞次席を経て堂々デビュー。待望の第一歌集。
目次
1(アンニョンハセヨ;茎;母の鼻毛;たこ焼き;スプーンください ほか)
2(ねぇママ;凍りつく漢江;入国管理局;四月の院生室;ソメイヨシノは ほか)
著者等紹介
カンハンナ[カンハンナ]
1981年ソウル生まれ。2011年に来日。横浜国立大学大学院都市イノベーション学府博士後期課程に在学中。ホリプロに所属し、タレントとしても活動中。2014年~NHK Eテレ『短歌de胸キュン』『NHK短歌』にレギュラー出演。2016年角川短歌賞佳作に入選。2017年角川短歌賞次席に入選。2018年角川短歌賞佳作に入選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
174
日本人とか韓国人とか、日韓とか・・ただ生きてるだけで色々あるよね。三十一文字の短歌の世界に魅入られた人一人。カン・ハンナさん。NHkの短歌の番組は未視聴だけれど、このタイトルに惹かれ手にした。謙遜の言葉だ。卑屈にならず、嫌味にならず自分を見つめて私も言ってみたい。「靴の紐強く結んでそれだけが坂の途中の我の背を押す」「わけもなく横断歩道の白線を踏みたい朝と避けたい夜更け」「横に並び母と餃子を包みつつ何も聞かず何も聞かれず」「匂いには匂いの想いが生きていて醬油の匂う成田空港」作者の生がありました。2020/02/14
だいだい(橙)
20
めっちゃ忙しい仕事の合間に読了。一人の歌人の歌集を一冊読み切ったの初めて。以前「若山牧水歌集」で挫折、与謝野晶子の「みだれ髪」も前に進んでいない。現代短歌で、相性が合えばこんなにサクサク読めるものなんだ!「短歌は一人称の文学」という通り、ここはカンさん自身が詰まっている。30代の女性のありふれた迷い(結婚、出産、仕事)と、日本にいる韓国人という異質さが交互に顔を出す。女性としての彼女は全く飾らず、驚くほど生身だ。自分と世代が離れているせいか「生理」や「おなら」まで詠む生々しさを好感を持って受け止めた。2021/06/11
遠い日
7
カン・ハンナという歌人のことを寡聞にして知らず、素直で謙虚なタイトルに惹かれて手にする。来日して8年、その間の日々の思いを三十一文字に籠めてきたことがよくわかる。真面目なお人柄が伺え、もがく姿も曝け出すストレートなことばにじんとくるものがありました。2020/06/12
あや
7
「まだまだです」というというタイトルからしてカンさんの謙虚なお人柄がよく出ていて好きです。お母さまや韓国と日本の間で揺れるお気持ちを詠んだ歌が好きです。 ミサイルや殺人事件が一面となる新聞で折ろうよ鶴を 反日が多いでしょうと言う前に一度でいいから行ってもらいたい 嫌韓と反日がいる日韓でもっと流れろ韓流、日流 2020/05/03
せっか
7
NHK短歌で短歌を学んだ作者。本当に努力家で勉強家。「君待てば綿雲が来る君待てばホオジロが飛ぶ来なくても飛ぶ」「空にいる古い木にいる川にいるニッポンの神 アンニョンハセヨ」2020/01/12