出版社内容情報
熟成された詩が産み出す濃厚な短歌の蜜。 まわりには不気味な金属音を立て蜂が飛び交う。 針を恐れぬものだけが味わえる官能のエキス。 一度舐めたらやめられない…岡井隆からの甘美なる挑戦状。
目次
1(ザ・タリス・スコラーズの声の中で;詩みたいなもの;雲雀に問ひて;アトピイ性鼻炎の中で;ぼくの心の池 ほか)
2(皇后ご誕辰を祝ふ夕べの集ひにて;戦後七十年の秋に思ふ;両陛下へのご進講即事―付 初笑ひ;時代のどまん中で;宗教者に向かつて富士山歌話をした ほか)
著者等紹介
岡井隆[オカイタカシ]
1928年名古屋市生まれ。1945年17歳で短歌を始める。翌年「アララギ」入会。1951年現在編集・発行人をつとめる「未来」創刊に加わる。1983年歌集『禁忌と好色』により迢空賞を受賞。2010年詩集『注解する者』により高見順賞を受賞。『詩の点滅』など歌集、評論集多数。1993年より宮中歌会始選者を21年間つとめる。2007年から宮内庁御用掛。日本藝術院会員。2016年文化功労者に選出(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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だいだい(橙)
15
90歳手前の晩年の歌集。おそらくこれが最後の歌集なのだろう。友が次々亡くなり、本人も病を抱えるなか、皇居に足を運ぶ。そして文化功労賞を受賞。 「一輪の花が咲くとき 不思議だなあ 雨の方から降ってくるんだ」 「晴れた日にうすぐらい部屋内に待つ才能といふ傷持つ人ら」 「<すみません、おくれまして>と声きこゆなあにまだ間に合ふさ死まで」 「この本のゆえに離れゆく友どちのあらむ アガバンサスを祈りつつ」 短いエッセイが幕間に入る。旧仮名遣いで。 「思想なんて夢みたいなもの。それも夜ではなく昼の夢なのだよね。」2022/03/20
mer
11
読み終えた後に岡井さんが90歳近いことを知って驚いた。短歌に年齢なんてないんだなと思った。小説だって詩だって、言葉は言葉。それだけでいいのかもしれない。それが全てなのかもしれない。2021/02/12
koobhon
1
歌壇の牽引者だけあって読みごたえはある。2018/07/27