内容説明
天才戦略家・石原莞爾への接近、政権奪取五カ年計画、東条英機暗殺計画への関与…。日中戦争前夜。生粋の社会主義者でありながら陸軍に潜入し、首脳達を掌握していった男・浅原健三。その狙いは、全面戦争阻止にむけた想像を絶する周到な不戦工作であった。そして石原と共に目論んだ、幻の満州領土一部返還計画の真実とは?戦後は政財界の黒幕として暗躍しつつ、一貫して日中親善に尽くした男の破天荒な生涯を描いたノンフィクション大作。
目次
第1章 葬られた熱河省返還計画
第2章 八幡の溶鉱炉の火を止めよ
第3章 中国侵略、絶対反対
第4章 政権奪取五カ年計画
第5章 日中全面戦争を阻止せよ
第6章 国外追放、新天地・上海にて
第7章 投獄東条英機暗殺計画
第8章 昭和の影武者、日中親善に捧げた生涯
著者等紹介
桐山桂一[キリヤマケイイチ]
1959年岐阜県生まれ。同志社大学文学部卒業後、中日新聞社入社。東京新聞(中日新聞東京本社)社会部で事件遊軍キャップ、司法キャップ、特報部デスクなどを経て、現在、社会部記者
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感想・レビュー
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カラコムル711
2
八幡製鉄のストの指導者で1回普選で無産党から当選した一部ではよく知られた浅原健三の伝記。彼と石原莞爾ら満州組の政治謀略?は、ほんとかなと驚く。いままで歴史研究者はほとんど取り上げたことがないと思う。結論的には挫折の記録ではある。しかし彼の文字通り波瀾万丈の生涯はドラマにすれば大変面白いものができよう。彼も石原も評価は難しい。東条の偏執狂的な権力を利用した悪質さはよくわかる。戦後は保守勢力のブローカーような役割になり西尾末広と変わらぬ位置になったようで個人的には残念な気がする。2023/02/04
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