出版社内容情報
迢空の代表歌がよくわかる注釈入り鑑賞。岡野弘彦氏推薦。万葉の地を岡野弘彦と歩き、遥かなる迢空の声を体に刻み込んできた作者。頭ではなく心で感じた迢空の歌の深さを、やさしく解き明かす必読の一書。奇蹟の歌人、釈迢空が身近に!!小論・エッセイも同時収録。
秋山 佐和子[アキヤマ サワコ]
1947年山梨県生まれ。國學院大學文学部卒。1974年、岡野弘彦主宰「人」短歌会入会。2003年「玉ゆら」創刊。2002年『歌ひつくさばゆるされむかも 歌人三ヶ島葭子の生涯』で日本歌人クラブ評論賞。2012年『原阿佐緒 うつし世に女と生れて』刊行。同年、平塚らいてう賞。歌集に『星辰』他。
感想・レビュー
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うえ
8
釈迢空にはクリスマスの詞が二つあるとか。一つが「耶蘇誕生祭も 過ぎ行きにけり。よべの雪のすでに堅きを 掘り捨てむとす」。もう一つが「耶蘇誕生会の宵に こぞり来る魔(モノ)の声。少くも猫はわが腓(コブラ)吸ふ」。モノびとこぞりて、という感じだろうか。こぶらとは秋田方言でいうふくらはぎ。岡野弘彦は『釈迢空』で「クリスマスの饗宴にあずかるために、闇の中から、あらわれて来たデモン・スピリットのささやきの声」と論じている。キリストの詞もある。「基督の 真はだかにして血の肌(はだへ) 見つゝわらへり。雪の中より」2020/12/25