出版社内容情報
「とんずら手伝います」。男装の船頭の裏稼業に隠された秘密とは??。
「弥吉」を名乗り、男姿で船頭として働く弥生。船宿の松波屋一門として人目を忍んだ逃避行「とんずら」を手助けするが、もっとも見つかってはならないのは、実は弥生自身だった――。
内容説明
借財がかさみ、首が回らない。亭主や奉公先の無体にこれ以上耐えられない。そんな人は、回向院裏の『浜之湯』に祀られた小さなお地蔵様にゆくとよい。そうすれば「とんずら屋」が、舟で逃がしてくれるという―。隅田川の船宿『松波屋』、一門で営む裏稼業。昼は船頭、夜は逃がし屋、その正体は女性!?ヤバい奴ほど、恰好いい。痛快時代活劇。
著者等紹介
田牧大和[タマキヤマト]
1966年東京都生まれ、明星大学人文学部英語英文学科卒。市場調査会社に勤務の傍らインターネット上で時代小説を発表。2007年「色には出でじ 風に牽牛」(『花合せ 濱次お役者双六』に改題)にて第2回小説現代長編新人賞を受賞し、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆみねこ
47
近江の小国来栖家の当主と本陣の娘の間に生まれた弥生が、江戸の船宿松波屋で男姿で船頭になる。松波屋は裏稼業としてわけありの人間の「とんずら」を請け負う。物語はとんずらがメインではなく、来栖家のお家騒動が主軸になっているので、裏稼業でスッキリを期待すると肩透かし。面白くないわけではないけれど、ちょっと期待外れかもしれません。2014/07/06
マムみかん(*ほぼ一言感想*)
26
船宿『松波屋』は、何かから「逃げたい」と望む者を、金で逃がしてやる「とんずら屋」という裏稼業をもっている…。 この設定だけでもワクワクですが、これに男のふりをして船頭として働く弥生の複雑な事情が絡んで、更にスリリングで面白かった! 弥生の周りの人たちがみんな魅力的で、彼女は辛い立場にあるんだけれど、ちょっと羨ましい(笑) 弥生は女性として生きられるようになるのか…?彼女の恋のお相手は同僚の啓治郎か「若旦那」進右衛門か…? 幼馴染の仙太郎はどうなったのか…? きっと、続編があるんですよね!? 2012/03/21
ぶんぶん
23
【図書館】とんずら屋・・・「夜逃げ屋本舗」の時代劇を想像していたのですが、お姫様の男装姿の船頭の話。 「弥生請負帖」ってあるくらいだから短編が何編かあると思ったら3篇のみ、話は続き物で御家騒動ばかり。 田牧大和だからこう来るだろうという推量は見事に外れ。 書き方にリズムが無く読みづらい、〈裏〉も、もう少し工夫して区別を付けないと見過ごしてしまう。 続編もあるらしいが、この辺りで良しとするか。2018/06/24
あすか
22
「とんずら屋」という裏稼業のいわゆる逃がし屋。逃げる身でありつつ、とんずら屋で過ごす弥生。辛い過去を背負う啓次郎。船宿に居着いてる進右衛門という若旦那の存在も・・・。ギリギリまで周りの気持ちを本当の意味で理解していない弥生にはだいぶイライラした(笑)でも謎がまだ残っているから、多分次巻も読みます・・・。2020/08/10
Norico
22
借金や揉め事に巻き込まれた人をとんずらさせる稼業の弥生ちゃん。自分もよんどころない事情で追われる身ながら、出会う人たちの立場に親身になって頑張りすぎちゃって、余計周りを心配させちゃう。若旦那と啓次、どっちを選ぶのかなぁ。私は目明しの伝助さんが好き。2019/01/13