内容説明
「先生、僕のお話ホントにホントに聞きたいですか?だからつまり、つまりそうなんです、この屋上にひっそり忍び込んだ僕が、いまこうして先生と遭遇しちゃったみたいに、あの日の弓子さんも気づけばすぐ後ろに佇んでたんです。ごごご、ゴルゴ13なら殴り倒してたところですよね、アハハハ…」でも僕は弓子さんを殴り倒さず恋をした。14歳の初恋だった。しかし彼女は夢見がちな人だった。魔法使いだったのだ。もはや、虚構の世界の妄想に精神を飲み込まれた彼女を救えるのは、雑誌『ムー』を愛読し、日々オカルトを実践している僕しかいない!ねぇ、フォボス…もしかしたら僕、ガールフレンドができたのかもしれないよ…。
著者等紹介
滝本竜彦[タキモトタツヒコ]
1978年、北海道生まれ。ひきこもりが高じて大学を中退。2001年、第五回角川学園小説大賞特別賞を受賞した『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』でデビュー。2作目の『NHKにようこそ!』でブレイク。両作品ともコミック化、映像化され、一大ブームを起こす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まつじん
14
イタイ、イタ過ぎます、中二病(だとおもう) おっちゃんになった今ならわかります、でも今現在進行形のワカモノに届く・・・といいなぁ。応援してるんですよね、滝本さん!2011/07/18
ゼロ
13
現実と妄想が入り乱れた世界観をしている。ひとりの少年がひとりの魔法使いに恋をしたお話。滝本竜彦らしく、イタさとヨワさが前面に押し出されている。中島も弱ければ、弓子さんも弱い。ただ弱さの中に浸っている間は不思議と怖くはなかった。メインテーマが悟りと美少女らしいけど、悟りの要素も美少女の要素も弱く、オチも弱かった。不思議と嫌いになれない作風と読み心地をしてるから、新刊が出たら、また読んでしまいそう。次が何年後になるか心配です。2011/06/19
かみしの
8
滝本竜彦のことをあれこれ言えるほど滝本作品を読んでないけど、なんだか彼の作品には共通のテーマがある気がする。クソみたいな日常と理想の非日常が並行していて、二択を迫られて、そしてどこまでも続く日常を選択するという構造。僕はこの作品を読んだ時に、筋肉少女帯の「踊るダメ人間」を思い浮かべた。それでも生きていかざるを得ないのだ。滝本作品が胸を打つのは、幻想に逃げさせてくれないからだ。今を、ここを、生きていかなくてはならない。辛いけれど。苦しいけれど。90年代的な作家だと思う。2014/08/08
でーたべーす
5
滝本竜彦流ラノベ。主人公が中学生ということもあってか空想方面にはっちゃけてる。自覚する空想だった僕のエアとは対象的な感じ。あとがきが酷かったw2012/06/29
Kemmel
5
初出2004年の雑誌連載作の単行本化。主人公は自虐的で中二病なヒキコモリ少年、ヒロインが自称・魔法少女で敵と戦っている、という設定は「ネガティブハッピー・チェンソーエッヂ」を連想させる。主人公の描かれ方が他の作品と変わりなく、滝本氏はこういう視点でしか物語を描けないのかなぁ...、というのが正直な感想。希望が現実化した未来と絶望的な未来、二つの夢から目覚めたときの喪失感には共感できるところがあるのだが、もうちょっと深く描いて欲しいかな。2011/08/25