内容説明
敗戦間近、箱根に疎開中のドイツ軍潜水艦長・ネッツバントが変死した。遺体を発見したのは、旅館に住み込みで働く安西リツ。この事件の調査をする海軍に通訳として連れ出された法城恭輔は、他殺の可能性を色濃く感じていた。しかし、ドイツ軍医・シュルツェは自殺であると断言する。不審に思い調べを進めると、事件の背後にはナチス・ドイツの陰謀が見え隠れしていた。一方リツは、若いドイツ人潜水艦乗組員のパウルと急接近していく。そしてリツも、否応なくその陰謀に巻き込まれていくこととなる―。激動する時代と、そこで力強く生きる人々を緻密な描写で描いた、傑作長編ヒューマン・ミステリ。
著者等紹介
坂東眞砂子[バンドウマサコ]
高知県生まれ。奈良女子大学住居学科卒業後、イタリアで建築とデザインを学ぶ。1996年『桜雨』で第3回島清恋愛文学賞、97年『山妣』で第116回直木賞、2002年『曼荼羅道』で第15回柴田錬三郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむら
40
ずっと積ん読だったのをやっと読む。うおー! 面白いぞコレ! 坂東さんというとなんか土着とか怨念とか四国とかの人というイメージでしたが、今回は新機軸。終戦間際の箱根でドイツ人(Uボート艦長)が変死。発見した旅館の女中リツと通訳に来た大学教授の法条の2名のパートでお話が進む。戦時下の箱根にドイツ人コミュニティーがあったという史実も興味深いし、戦後のGHQに占領されてる東京の描写も面白い! 日独米の思惑が絡む極上の骨太ミステリ活劇! ドイツなのになんでブギウギがは読んでのお楽しみ。あー楽しかった!2015/08/14
そら
29
面白かった!スパイ小説であり、田舎娘が〇〇になるサクセスストーリーであり、戦中戦後の日本を知れる、知的好奇心が満たされる本!とにかくいろんな要素が詰まった本だった。エンタメ性もあって楽しめました〜😊。軽くなく、かといって重くなく、ちょうどいい感じです。著者の他の作品も読んでいきたいです♪2023/03/26
みさどん
25
物語が真ん中から動きだしてから、がぜんおもしろくなった。戦後の混乱と国の思惑と摩擦、乱暴に事を進める軍事の下での陰謀。本題は対照的に、愚鈍に生きる女中リツの口ずさむ歌なのだ。信条が真反対にくつがえるような、戦中から戦後の怒涛の日々を、巻き込まれる通訳者の法城と、宿のおかみと、リツの三人の目線で語られていく物語。戦争って殺しあうだけでも修羅なのに、全ての人を生きていくのに大変な日々にするんだ。なんだか事実のような気がしてしまっていた。2023/06/20
いくら
19
敗戦前夜と敗戦、そして戦後の日本を描いた作品。同じ敗戦国のドイツ人の軍人が多く箱根に逗留してたのは知らなかった。確かな時代背景をベースに人の価値観、人生観が大きく変わる時代にしなやかに強かに生きる女性を描いた作品でした。2013/08/27
nico.pp1
16
8月15日敗戦の日、日本は戦争に負けた。読み始めたのがちょうどその日だったので、なにか縁を感じました。長かったけど、読み応えがある作品でした。どうしたらここまで人は人に残虐になれるのか、激動の中を生きた人々の描写力に圧倒されました。女性は強いというのがとても印象に残りました。2014/08/16
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