内容説明
岩手県の太平洋岸にある小金牛村から、県庁所在地である盛岡市まで向かうには、いくつかの峠を越えなければならない。その峠の一つ、雲上峠にある展望台の朽ちかけたベンチに、男性の生首が置かれていた。被害者は年商総額三十億にのぼる食品加工会社などを経営する実業家。地元の名士を残忍なやり方で殺害したのは誰なのか?次なる惨殺遺体も発見され、海辺の村が騒然とするなか、さらには岩手県選出の国会議員を殺害するという予告が。全国へ厳戒態勢が広がる劇場型犯罪へと発展したこの事件は、思わぬ方向に急展開をみせて…。29歳、普段はクールな若手新聞記者の一方井将棋が真相に迫る。
著者等紹介
大村友貴美[オオムラユキミ]
1965年岩手県生まれ。中央大学文学部卒業。2007年、『首挽村の殺人』で第27回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミーコ
32
初読みの作家さん。猟奇的殺人、誰が犯人なのか⁇ 最後まで分かりませんでした。刑事の小清水さん、何故こんな人が課長になれたのか不思議でした。この人の言動には常にイライラ。一方井さんの喋り方が軽くちょっと引っ掛かりましたが、まずまず面白かったです。2021/10/23
えみちゃん
15
《図書館本》先日読んだ「首挽村の殺人」の続編っという三部作の第3弾です。今回は同じ岩手県でも太平洋岸にある小金牛村が舞台となります。さてっ、地元の名士の首が霧深き峠の展望台のベンチの上で発見されます!被害者はかなり強引な手腕で権力をほしいままに振るっていただけに容疑者も多く捜査は難航します。閉鎖的であるがゆえに普段表面化しない村人たちの鬱屈した思いがあぶり出されていく様はいまなお続く村社会にやりきれなさを感じるばかりでした。その一方で本家の跡取り息子・成一を通して新卒採用試験に乗り損ねた先に続く格差問題2025/08/17
みかりん
6
面白いんだけど 読むのに時間がかかった。それは 最後の最後まで犯人の見当がつかなかったからかもしれない。犯人には同情しかなかったし 今の時代の流れを 的確に表現してる部分など 苦しくなる話だった。2018/03/07
HARUYOI
5
今回は前作で藤田警部補が出会った記者がメインに立ち回る。 毎回作中の柱に社会問題が入れられておりどれもが今だに解決できない、寧ろ悪化し続けている事に何とも言えない感情が湧いてくる。約10年前の作品なのに。 そう言った面も合わせると作中の殺人事件やり切れない思いでいっぱいになる。 現実でも創作でも人が人を殺す事の裏には割り切れない複雑な事情が絡む事が多く、なぜ人は正直に生きる事が出来ないのかと考えてしまう。 ただ大村さんの作品はただ人や社会の暗黒面だけを突きつけるだけでは無い 優しい光もちゃんと届けてくれる2022/06/08
たこやき
5
今作も過疎地域、地域間格差を描き、その中で就職難、フリーター問題などを絡める。ただ、前作までと違い、妙な儀式とか伝説とか、そういうものを殆ど使わず、普通の社会派ミステリ的な形を取ったのは正解だと思う。ただ、頻繁に切り替わる視点に、妙に無能な警察の方々などで散漫な印象が残るのは相変わらず。先の社会問題にしても、台詞による説明が主で物語とあまり一体化していないように思う。前作よりは、描きたいことがはっきりと伝わるものの、もう一歩、という感じだろうか。2009/11/15
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