出版社内容情報
小さな物語のような珠玉の旅エッセイ
《考えてみれば贅沢で無謀な旅だった。帰る日も決めず(お金の続く限りいようと思っていた)、泊る場所も決めず(いきあたりばったりの旅こそ私たちの憧れだった)、言葉もできず、でもともかく可能な限りいろいろな乗り物に乗り、可能な限り遠まわりをして、アフリカ大陸に行こうとしていた。/私とその友人は、十三歳のときに女子高で出会った。どちらも本が好きで外国に憧れていて、ドラマティックなことが好きでおいしいものが好きで、すぐに意気投合した。トーマス・クックの時刻表は私たちの宝物だった。ひろげて部屋の壁に貼り、「壁のその部分だけ外国みたいだ」と思っていた(「トーマス・クックとドモドッソラ」より)。
これは、二十歳の頃のヨーロッパ旅行の思い出。
海外への旅(パリ、ローマ、フランクフルト……ロシアとアフリカ)、そして国内の旅。でも、初めて入るデパートの食品売り場にも、一冊の本の中にも旅はある。
小さな物語のような珠玉のエッセイ37篇のほかに、旅をめぐる三篇の詩も収録した心に沁みわたる一冊。
内容説明
忘れられない海外への旅と国内の旅。でも、一冊の本の中にも、初めて入ったデパートの食品売場にだって、旅はある。懐かしい思い出が詰まった極上の一冊。エッセイ37篇のほか巻頭に詩を三篇収録。
目次
心が強くなる歌
大分の緑とバードマン
地理の勉強のこと
パリの地下鉄と真理ちゃんの声
バターパンのこと
かわいそうなつばめ
日帰り旅行の距離と時間
最初に行く店のこと
思い出の富士山
平安時代の旅
はみだす空気
逆転現象のこと
死者の家
コーヒータイム
旅先の雨
長崎の夜
決意している
かれいひのこと
スドクのこと
ローマのケニア
みたいなもの
乗り継ぎのこと、あるいはフランクフルトの空港の思い出
ナッシュヴィルのアイスクリーム
三十分間の旅
年中眺めていたかった版画のこと
ポケットから出現するもの
動物たち
がんばれ永明
ロシアの紅茶
ロシアの書道
斜めのコップ
九州@東京
脱臭剤の思い出
F氏からの手紙
にこやか問題
帰る場所のこと
著者等紹介
江國香織[エクニカオリ]
1964年東京生まれ。主な小説作品に、『きらきらひかる』(紫式部文学賞)、『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』(山本周五郎賞)、『号泣する準備はできていた』(直木賞)、『真昼なのに昏い部屋』(中央公論文芸賞)、「犬とハモニカ」(川端康成文学賞)、『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』(谷崎潤一郎賞)などがあり、エッセイ・童話・詩・翻訳などのジャンルでも多くの著書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯