覇者と覇者―歓喜、慙愧、紙吹雪

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  • サイズ B6判/ページ数 483p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784048738941
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

戦争孤児が見る夢を、佐々木海人も見る。小さな家を建て、消息不明の母を捜し出して、妹と弟を呼びよせて四人で慎ましく暮らすという夢を。八歳のころから見つづけてきたささやかな夢だ。―応化十九年六月、ふたたび戦争の季節がおとずれる。未完の遺作、ついに刊行。『裸者と裸者』『愚者と愚者』に続く、「応化クロニクル三部作」完結編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キク

51
応化三部作の完結編。三部作とも上巻がカイトの孤児部隊、下巻が椿子の女子マフィア視点で構成されているけど、今作の下巻途中で絶筆となっている。近未来日本の壮絶な内戦は、多くの犠牲を出しながら完結を迎えたけど、終戦後の少年少女達の行く末は読者が想像するしかない。でも、打海さんが描き出したであろう「その後」は、絶対に僕なんかには想像できないんだろうと悲しくなる。「この作者の見ている世界を、僕は自分では絶対に見ることができない」と感じた日本の現代作家は、伊藤計劃と打海文三だった。2人の夭逝が本当に残念でならない。2021/08/06

リボー

24
ようやく打海先生の本を最後まで読むことが出来たと思ったら(過去3作挫折)、未完で続きが読めないというオチだった。絶筆作だと調べずに読んだ自分が悪いのだが、続きが読みたい…。しかも3部作のラストで未完なので非常に悶々とする。2012/12/12

よっしー

21
打海文三さん、応化戦争記の三部作目「覇者と覇者」読了。近未来の日本を舞台にした戦争孤児の戦いを描いた作品。打海さんは2007年に急逝したため、本作も未完なのが残念。8歳から妹と弟を守るため戦争に身を投じた主人公の海人。戦争終決後も孤児部隊の教育や就職に駆け回る姿に目が離せなかった。巻末の解説を読んで、ものすごく深い物語なのでは?と思った。打海さんは、決してメジャーではない作家かもしれないが、他作家からの評判は高い。解説を読んで「ぼくが愛したゴウスト」や「されど修羅ゆく君は」は読もうと思った。良かった♪2018/11/10

月をみるもの

10
「戦争はもうまっぴらゴメンだ!」「だけど暴力をふるうのは愉快だ!」2021/07/26

しろ

9
☆7 未完の物語。それでも読んで良かった。そもそも、物語に完結もなにもない。形式上では終わるが、本質的に終わりも始まりもないはず。特にこのシリーズはそう感じるし、著者が物語を創るというより、彼らの言動を記録しているよう。だから不満はない(もちろん完結をみたかったけど)。作品の戦争を通じて描かれてきた人間の本質はとても刺激的だった。もう簡単に「武力反対!麻薬反対!淫行反対!」とは叫べない。それらに逃避せざるえない人々だっている。それを解った上でこそ、欲望のための悪行を憎める気がする。2011/11/06

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