出版社内容情報
ストーリーに釘付け。ラストにうっとり。最高潮の大河ドラマ!
黄昏の美しい王国にペリー来航。近代化の波に立ち向かう宦官兼側室のまづる。しかし破天荒な一人二役劇は突然幕を閉じる―。時代の変わり目を嵐(テンペスト)となって生き抜いた王宮人の苛烈な愛と涙の物語。
内容説明
流刑にされた宦官・寧温は、九死に一生を得て、側室として返り咲いた。折しも内外に国難を抱える五百年王国にペリー来航。近代化の嵐が吹きすさぶ―。
著者等紹介
池上永一[イケガミエイイチ]
1970年、沖縄県那覇市生まれ、のち石垣島へ。94年、早稲田大学在学中に「バガージマヌパナス」で、第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞する。98年『「風車祭(カジマヤー)」』が注目される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoshida
154
波瀾万丈な真鶴の生涯。琉球の知られざる歴史を知る。また、琉球の情緒を味わう事が出来る作品。更には琉球の地政学的なプレゼンスを思い知る。個人的には、人物や言葉をもっと重厚感をもって書いてあったほうが好みです。展開が急すぎてファンタジーかと思うところもしばしばある。登場人物が奇天烈すぎる場合もある。恐らくは池上永一さんの琉球愛ゆえに色々と盛り込んだのかなと思料する。色々書きましたが、身近な存在でありながら知られざる琉球の歴史や風土、文化を知ることが出切る。読むのにパワーを要するが一度は読んでおきたい作品です。2017/07/03
NAO
54
真鶴の数奇な運命の背景として、阿片戦争後国力が衰えた清と薩摩藩のどちらにつくかという難しい舵取りが求められている琉球国の困難な政情、そんなことなどおかまいなしの役人たちの腐敗が描かれている。さらには、主人公の真鶴が性を偽っているがために起きる恋の騒動、真鶴の秘められた恋、王宮に住む女性たちの権力争いなども描かれていて、そのあたりはちょっと昼ドラのように濃厚で、ドロドロしている。その王宮で、一人の女性が男になったり女に戻ったりを何度も繰り返すというのだから、これはもうドタバタコメディというしかない。2024/05/31
よこたん
51
“不思議なものだ。想い出は色褪せると思っていたのに、ますます鮮やかに蘇る。私は捨てた心に今でも囚われているのかもしれない…” 鳳凰木の赤い花は、あの日々の微笑みも涙もじっと見つめていたのだろう。男、女、その前に私である。どんな境遇に立たされようと、私は私であることをやめられはしない。琉球王朝の落日、それぞれの思いを噛みしめる。ファンタジーであり、政治、友情と恋愛の物語であった。ガラスの仮面ばりの変身力(何で気付かない?)、お嬢様爆弾、ジャスミンの香る男と百合の匂いの女。ミセゼル(祝詞)の歌声聴いてみたい。2021/02/22
mikea
46
上巻と同じく、波乱ばかりでどうなることかと先が気になり、読み進めました。上巻よりも登場人物が人として味わいが出てきた感が強く、そのおかげもあってラストは感慨深いものでした。首里城を見に行きたいなぁ・・・2010/02/01
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
45
王宮に戻ることはもう叶わない夢だと思っていた。でも時代はまだ寧温(真鶴)のことを必要としており、新たな嵐が巻き起こる・・。激動の下巻。寧温(真鶴)は男性としても女性としても完璧すぎて、あまり人間的な魅力を感じませんでした。それならば真牛や真美那の方が欠点はあるけど人間くさくて私は好き。真美那の恐れを知らない思い切った行動はスカッとするし、真牛の王宮に戻ることを諦めない往生際の悪さはある意味尊敬に値しました。面白かったけど、これでもか!とばかりの展開にはちょっと疲れたかな。★★★★2011/08/10