内容説明
信玄亡き後も、宏大な版図と強兵を維持し続けた武田家。しかし金の産出で膨張していた経済が破綻し、西から擡頭した強大な新興勢力・織田信長に脅かされ、東の同盟国・北条とは軋轢を生じ始める。現代日本に酷似した情況を背景に、さまざまな政治的謀略と勝頼の屈折した愛憎が、武田家を悲劇的運命へと導く…。戦国最強を誇った軍団が、信長の侵攻からわずかひと月で跡形もなく潰えてしまった謎を、驚異の新鋭が解き明かす壮大な歴史長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤枝梅安
27
この作家は初めて読む。北条氏から勝頼に嫁いだ北条夫人(小説では「桂」)を中心として物語が進む。桂の異母兄・三郎(史実上は実の兄)が越後の長尾家に養子に入り、景虎となる。脇役に配された小宮山内膳友晴、宮下帯刀が後半の中心人物となる。内膳は勝頼に最後まで従った忠義の武士。宮下は伊那の小豪族の部下だが、常に現場で若者たちの先頭に立った苦労人として描かれる。辻弥兵衛盛昌は徳川方に寝返り、細かな工作をするが、結局武田家に思いを残したまま死んでいく。辻盛昌の動きが複雑で物語のスピード感が損なわれている。(コメントに続2012/11/07
春日
7
北条から武田家への桂姫の輿入れから天目山での武田家滅亡までを、武田家に関わった様々な人々の視点で描かれています。視点がいくつも変わりながら、どんな場面へも読者を引っ張る筆力はすごいです。武田家の最期を描いた小説を読むたびに、勝頼公についての認識を考えてしまいます。暴君か、名君か、凡庸ではないはずだけど偉大な父から逃れられない程度の器量…そして武田家滅亡の必然性。この作品もまたそれらについて考えさせます。読み応えあり、最後まで飽くことなく一気に読みました。2013/11/22
ヒコ
5
読み応え十分な厚みでした。オススメてす。それにしても、武田家の滅亡は呆気なさすぎる。武田贔屓としては残念。2012/12/11
かずお
4
★★★☆☆ 長篠の戦いから天目山の戦いで武田家滅亡まで。佞臣を見分けられなかった勝頼が悪いのか?2019/12/13
ゆみゆみ
4
こちらも北条夫人、桂姫の目線からのお話でした。勝頼はとことん運がない人だったのか、時代が悪すぎたのか。自分は武田家を滅亡させるために生まれてきたのだろうか、とつぶやいている場面に泣けました。(上杉景勝について悪く書かれてたのが残念だったけど)2012/09/01
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