内容説明
タイ生まれの日本人・十河将人。彼はバンコクで偶然再会した幼馴染から、法外な報酬で中国人の女をシンガポールに連れ出す仕事の依頼を受けた。おそらく女は売春婦。何とかして最悪の生活から逃げ出したいのだろう。将人にとっては簡単でおいしい仕事の筈だった。しかし、その女と接触してから何者かに狙われる羽目になる。しかも敵は複数。どうやら彼女が持っている仏像に秘密が隠されているらしい…。―張り巡らされた無数の罠、交錯する絆と裏切り、揺れ動く愛と憎。神の都で出会った男と女の行き着く果ては!?人間の根元的欲望を描き切ったアジアン・ノワールの最高峰。
著者等紹介
馳星周[ハセセイシュウ]
1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターに。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年同作品で第18回吉川英治文学新人賞を、98年『鎮魂歌―不夜城2―』で第51回日本推理作家協会賞を、99年『漂流街』で第1回大薮春彦賞を受賞
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感想・レビュー
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りちゃ
12
舞台はバンコク。初めから、ラストは想像がつく。主人公が何だかな…。ろくでもない、同情の余地なし。みんなでもって「あれ」「あれ」って不自然すぎ、怪しいでしょう。主人公に、一本筋の通ったところがあったらよかったんだけど…。2017/12/02
そうたそ
10
★★★☆☆ タイ生まれの日本人・十河が、法外な報酬につられ、売春婦である中国人の女・メイをシンガポールに連れ出す仕事を引き受けたばかりに、幾多の危険に遭遇する羽目になるアジアを舞台にしたノワール。十河が女と共にタイの各地を転々としていくロードノベルっぽさもありながら、常に危険を孕んだいつものノワールのような面白みもある。だが、著者の他の作品に比べるとややテンポが悪い。着地も今ひとつ、という感じで、いつものような没頭感は乏しかったかも。巨悪のような存在が足りなかったのかな。2025/09/19
アルクシ・ガイ
5
人間は信頼できない。女はとくに信用してはならない。この作家の作品の共通テーマです。バンコクに行くのが怖くなった。2015/09/18
Ken Ueno
4
重くもあり五感をフルに刺激されました。行ったことのない国なのにあたかも知っている町のような不思議な感覚。充実した読書タイムでした。2014/01/17
うい子
4
バンコクが舞台の裏社会物。こういうジャンルの小説で重要なのは、やっぱりスピード感なんだろうぁと改めて実感した。何でもかんでもすぐに頭が熱くなってしまう主人公の性質が"ヂャイ・ローン"という言葉で何度も表現されているのが目につくが、その疾風のような流れに対し、それに関係する過去の描写が薄かったせいか、途中で主人公のことがよく分からなくなってしまった。しかしやっぱり、次から次へと様相を変える人々の動きに夢中になってしまった。友達作りは計画的にしなくちゃね。2010/10/12
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