水の時計

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  • サイズ B6判/ページ数 305p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784048733823
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

脳死状態にありながら、月夜の晩に限り意思伝達装置を使って話をすることのできる少女・葉月。彼女は、自分自身の臓器を必要とする人たちに分け与えたいと願っていた。移植問題に深く切り込んだ傑作。

内容説明

医学的には脳死と診断されながら、月明かりの夜に限り、特殊な装置を使って言葉を話すことのできる少女・葉月。生きることも死ぬこともできない、残酷すぎる運命に囚われた葉月が望んだのは、自らの臓器を、移植を必要としている人々に分け与えることだった―。透明感あふれる筆致で生と死の狭間を描いた、ファンタジックな寓話ミステリ。第22回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

著者等紹介

初野晴[ハツノセイ]
1973年静岡県清水市生まれ。法政大学工学部卒。現在、群馬県高崎市在住。2002年、『水の時計』で第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちはや@灯れ松明の火

78
暗闇に射す蒼い月明かりがふたつの時間を重ねあわせた。苦しみを抱いたまま死の淵で眠り続ける少女と、痛みを抱え込み生の際を走り抜ける少年、明けることない夜の水面を漂うふたり。動き出す水の時計の針、月の雫が届ける幽かな声、奇跡と呼ぶには残酷すぎる出逢い。身を削りながら、傷つけながら、分け与え、託され運ぶ、宝石のように輝く生命の欠片。生を繋ぐたびに死に近づいていく。終焉へと向かって時が刻まれていく。それでも留まることはなく。遺された鉛の心臓に宿り続けた想いと願いを捧げよう、孤独を分かち合った大切なあの人へと。 2011/09/10

スケキヨ

53
最近注目している作家さんのデビュー作。「脳死」は「本当の死」か。そもそも「本当の死」とは。の問題を『幸福の王子』をベースに紡ぎだした物語。どちらも繊細な題材なので切ないです。ツバメと王子の関係はどんな世界になっても二人意外には届かない絆があるんだね。「水面に揺れる月の光」の装丁が好きです。2010/11/22

Yuna Ioki☆

50
1621-52-52 初読み作家330人目。途中で葉月と昴の関係は気づくよなあ。。。代理ミュンヒハウゼンだったり、臓器移植問題だったり移植ビジネスだったり現代社会が抱える闇の部分を盛り込んだミステリー。個人的に移植に関しては森尾の意見が一番近いかな。2017/05/28

ちゃんみー

43
初読み作家さんです。読友さんの感想を見て、また作品の参考文献を見たら、どうも脳死をテーマにしてたようなので興味が湧き読んでみました。最初20ページぐらいは私にはとても読みにくく、入り込めませんでした。最後までこの感が消えず、脳死と臓器移植がテーマであることはわかりましたが、この女の子が脳死状態で順番に臓器を必要とする人に分け与えていたということの意味まで理解が至りませんでした。初野作品がお好きな方、どうもすみません。2013/10/18

背古巣

33
タイトル縛りの本選び【2023年6月は“水”】 ちょっと重いテーマの短編集でした。第一章で題名の意味が語られているのですが、私にはさっぱりでした。最終章へ向けて話が繋がって行きますが、「変に繋げなくてもいいんじゃない?」というものもありました。"面白かった"と言うのは、不謹慎かなという内容。興味深く読みました。2023/06/19

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