出版社内容情報
古書店『無窮堂』の店主・本田真志喜と幼馴染で「せどり屋」の瀬名垣太一。田舎町の旧家に買い付けに行った先で出会った人物は、二人の「罪」を呼び起こした。新進気鋭の女性作家が描く「罪」と「再生」の書き下ろし青春小説
内容説明
秘密を抱え、彼は彼に会いに行く。あの雑木林の向こう、古書店「無窮堂」まで。新進気鋭の女性作家が描く「罪」と「再生」の青春小説。
著者等紹介
三浦しをん[ミウラシオン]
1976年東京生まれ。早稲田大学卒。2000年、書き下ろし長編小説の第一作『格闘する者に○』(草思社)を発表。コミカルな作風、リアルで瑞々しい感受性が各紙誌で絶賛を浴びる
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感想・レビュー
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ひめありす@灯れ松明の火
100
水面にまるく、月が浮かぶ。紅く長く尾を引いて、金魚が揺れる。たまゆら近づいた二つを二つとも手に入れたくて、そっと手を差し入れる。掌で掬った月と魚は果して同じ世界に生きてると言えるのだろうか。手を差し入れて水面を乱した事でたまさかの邂逅は幻と消えてしまうのではないだろうか。置いておく、そっとしておく事で保たれる美しさがある。鏡に映った花へと手を伸ばしても、硬い鉱物に手が触れるだけ。だけど貴方が彼を望むのなら。そっと手を揺り動かして。手元に一輪、花が咲いている事に気づくだろう。共に生きている、世界があるのだと2013/12/29
七色一味
90
読破。読メで読まれている方が多い作品だったので…。最初のウチは、なんとなく、かつての文豪を彷彿とさせる、斜陽的耽美的「腐女子」的小説なのかと、恐れおののきつつ頁をめくっていましたが──実に、斜陽的耽美的でありながら──、古書に魅入られた親子、そしてその二人を、天性の審美眼故に引き裂いてしまったがために、それぞれが心に負った深い傷──それと、それぞれが折り合いをつけながら生き行く、そんな姿を著した、BL風味な作品です^^腐女子的場面は、ないんですが…、しかしこれは、やはりBL風味なんだろうな…。2012/01/13
そのぼん
85
静謐な雰囲気の作品でした。古本屋の店主の青年と、その友人との目線で物語が進んでいきました。古本を扱っているせいか、何処かか和な空気が漂っていました。2012/10/19
パフちゃん@かのん変更
64
古本業にも持って生まれた才能とかがあるのですね。二代目さんは残念だけど、その器じゃなかった。父に才能を認めてもらっている我が息子に嫉妬しているのが惨め。瀬名垣はいいやつだ。なんだか、瀬名垣と真志喜の関係があさのあつこのNO.6の二人みたいに思えるのは私だけでしょうか。2012/10/28
芽
56
BLだと聞いてウキウキしながら読了。お互いに闇を抱えながら寄り添っていてある意味親密かも。露骨な表現は無かったけどちょいちょい怪しい。古書対決もハラハラ出来たし、もう一つの先生目線のお話も太一たちの青春が描かれていて爽快だった。2014/11/30