内容説明
38歳という若さで日本を代表する企業の人事課長に抜擢されたエリートサラリーマン・橋田浩介。深い闇の中に封印された悲惨な過去を背負う短大生・中平香折。社会的立場が正反対ともいえる二人が、出会い、生まれた、日常の中の刹那的非日常世界―。期待の新鋭が放つ、感動の新感覚エンタテインメント小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamamiki
8
感情を大きく揺動させるこの読後感、この場合はとてつもない寂寥感ですけど、それに押し潰されてしまいました。人によっては最後のところは救われたんだというかもしれません。でも僕には切なくて悲しくて、いたたまれない。この作品、白石さんの初出作品であるんですが、あまりの完成度の高さにも驚嘆です。この本には、このあと書かれていく作品群の全ての要素が凝縮されております。人と人が惹かれ合う元になるのは何?人生とは何?運命とは?人とは?これ以降の白石作品は将にこの作品の各部分を拡大し押し拡げていったものなんだなと思います。2015/11/24
GASHOW
7
知り合った女性が読んでいたので、手にしてみました。日本型エリートが失われた20年の原因なんだな~。とか、香折がいつそこまで好きになったのだろう。男の自慢話で記憶の美化が入っているような感じもしました。読み手の状況によって、いくつも気が付くことがある話なので、興味深い。2017/02/27
ロバくん
4
白石さんのデビュー作。 主人公(橋田浩介)のその時の人生のすべてを切り取り活字に置き換えたような隙のない白石さんの表現方法はデビューから綿々と続いていたのですね。 常々そこまで背景を固めなくてもいいのに。と思っていましたが一人の人間の複雑な思いが伝わり、そこに行き着いたのかと納得させられます。 今回は若干二十歳の香折の人生があまりにも切ない。 タイトルの『一瞬の光』がまだ私には見いだせていません。 どの部分をいっているのでしょうか? 香折にとってもうひとつ上の幸せが訪れることを祈り期待します。2015/12/14
なあちゃん
4
長い、けど、一気に読んでしまった。 浩介のエリートサラリーマンとしての生活があまりに絵にかいたようだなと思っていたら、親との縁が薄く、過去の恋愛にとらわれていて、だから、ありがちな、権力闘争にまきこまれるのが、なるほど、そう来たかと感じた。 瑠衣との愛は成就しない。 運命を共にするのは、やはり香折であることに納得。2014/04/19
聖月
4
◎主人公は一流大学を出て、一流会社でバリバリ働き、顔はハンサム、女の扱いも上手、と不足するものは何もないという環境に身を置く。かと言って、性格的にも鼻につくようなことはなく、正義と理性と愛情のかたまりのような人間である。そんなに出来過ぎていたら小説にならないじゃないかとも思うが、それが小説になっているのだからしょうがない2000/08/28