内容説明
時は、江戸。巷の闇の色は濃い。その闇を縫うように、あやかしたちの姿がほのかに立ち上る。小豆洗い、白蔵主、舞首、芝右衛門狸、塩の長司、柳女、帷子辻…。それは、現か、幻か、それとも―と、その刻、小股潜りの又市の鈴が密やかに鳴り、山猫廻しのおぎん、考物の百介、事触れの治平の姿が現れる。「御行奉為―」いつの世も、不可解な事件は決して跡を絶つことがない―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
93
面白かったです。必殺仕事人を京極さんがアレンジしたと思わせるほど。世間の濃い闇の中で又市の鈴が鳴るとき、不可解な事件が綺麗に消えゆくような空気に包まれるのが心地よかったです。江戸時代ならではの景色に溶け込む妖たちの姿。それは人々の様々な想いの象徴であるというのが美しさと妖しさを醸し出しているようでした。勧善懲悪に絡む妖怪という取り合わせがツボです。2017/07/12
勇波
70
単行本にて再読です。何度でも楽しめるというか、何度読んでも各話の結末にいちいち驚く自分のアタマの悪さに感謝です。この分だと『続巷説…』も楽しめる事間違いない。。本作の又市一味の仕事はまだまだジャブ程度のもの。次作からの圧倒的な闇への対決は再読ながらワクワクします。又市曰く「生き残った者の心中にこそ…冥府はあるので御座居ます」との事。これつい先日『弔堂』の御主人も仰ってましたね。これこそ不変の理かもね★2017/01/04
吉田あや
50
闇が本当の闇として存在できた江戸時代を舞台に、読み手の肺を粘度の高い苔生す湿度で満たし、行き場なき想いが凝る現世と幽世の境目で弔いの鈴を鳴らす。京極さんが放つ式神のように怪異を裁く又市サーガ始まりの物語。2024/09/15
猫ぴょん
29
☆再読☆又一の鈴がりんと鳴る。 御行奉為。 く~痺れる~☆彡 江戸時代。 妖と闇がうごめく~。 おぎん・百介・治平。 キャラ立ちもイイんだよねー♪ 京極夏彦作品で最も好きなシリーズ。 その1☆彡 ✨✨✨ 2024年7月16日 またしても読み返す🤣 柴右衛門狸が特に好き😍 2021/08/23
たかゆき
25
再読。初期を改めて読むと後期の「最後まで死だけは避ける」という姿勢からだいぶ外れてる冷酷な印象。けっこうガチの小悪党だよね又市。『舞首』の黒達磨は人数合わせの為「物のついで」で殺られてるし、恐ろしいのは『芝衛門狸』で、「徳島藩主の依頼」「仕込みを合わせて半年の大仕事」「おぎんは人形師の留守中に女中に」諸々…ってことは、芝衛門の孫娘が殺されたのは不幸な事件じゃなく又一の仕掛けの一環(芝衛門に近づく口実)で実質又一が殺したようなもんじゃねーかと邪推できてまう。岡田将生、星野源、柄本明、蒼井優2016/12/12